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第0046号 対数の基本公式(その4)


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┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0046号 (2006/12/18)             ┃
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 長らく間が空いてしまいました…何と2ヶ月半ぶりの配信となってしまいま
した。。。申し訳ありません m(_ _)m 推薦関係が一段落したと思ったら、ち
ょっとクラス内でゴタゴタがあり、そうこうしているうちに期末試験…所詮言
い訳に過ぎないんですけどね(汗)


 初めて読む方もいるかと思いますので、このメルマガでの記号の書き方につ
いての約束事を2、3書いておくことにします。


 ☆2乗、3乗などの表し方は、^2、^3とします。
 (例)xの2乗 ⇒ x^2

 ☆添え字は_1、_2といった形で書きます。
 (例)数列の初項、第2項などは ⇒ a_1、a_2
    対数の底a ⇒ log_a x



──Contents─────────────────────────────

 1.対数の基本公式(その4)
 2.数学の森で迷子にならないために

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  1.対数の基本公式(その4)

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 あまりに間が空きすぎてしまいましたので、前号までどんな話だったか覚え
てないよ〜、という方もいると思います(汗)第0043号から第0045号まで対数
の基本公式を紹介&証明してきました。で、前号の説明の最後に、基本性質の
実際の使い方を次号で紹介しましょう!と書いて、それっきりになってしまっ
たのです(>_<)、、、スミマセン


 それで、スミマセンついでなのですが、実は基本公式を一つ紹介し忘れてい
ました。それを今回紹介して、次回から計算練習を行います。そして、最後に
究極の公式(ちょっと大げさ?)である「底の変換公式」を紹介し、その練習
を行っていきたいと思います。計算練習が終わったら、方程式や不等式の話も
していきたいと思います。


 ということで、しばらく対数の話を継続したいと思っているのですが、なぜ
だろう?と疑問に思う人もいるかもしれません。対数は最初のうち、その概念
が掴みにくいことから、ムズカシイものと思われがちですが、実は入試問題の
中でも得点源になり得る分野なのです!だから、ちょっとしたコツをマスター
してもらって、対数恐怖症を克服してもらいたいと思うのです。


 では、前置きはこのくらいにして、さっそく本題に入りましょう。


 前号までに導いてきた対数の基本公式を挙げておきます。

 (イ)log_a 1 = 0
 (ロ)log_a a = 1
 (ハ)log_a a^n = n
 (ニ)log_a xy = log_a x + log_a y
 (ヘ)log_a x^r = r・log_a x

 メルマガのバックナンバーはこちらです。
 ⇒ 第0043号 http://mathemaster.com/magback0043.htm(イ)〜(ハ)
   第0044号 http://mathemaster.com/magback0044.htm(ニ)
   第0045号 http://mathemaster.com/magback0045.htm(ヘ)


 紹介し忘れていたのが、実は(ニ)とセットで覚えてほしい公式なのです。
その関係から、ちょっとインチキしてこれを(ホ)とします。ですから、上で
(ニ)の次が(ヘ)というのは、間違えたわけではありません(^^;

┌───────────────────┐
│       x            │
│(ホ)log_a ── = log_a x - log_a y │
│       y            │
└───────────────────┘

 真数の部分が掛け算の時には、対数の足し算に分解することができましたが、
今度は真数の部分が割り算になっています。この場合には、対数の引き算に分
解されるのです。


   真数    対数

  掛け算 ⇒ 足し算
   ↑     ↑
   ↓     ↓
  割り算 ⇒ 引き算


『掛け算←→割り算』に対して、『足し算←→引き算』というような関係が成
り立っていますので、そのあたりを記憶の強化として使って覚えるといいので
はないかと思います。ただ、最終的には「大して悩まずにスラスラできる」と
いうところまでいってほしいと思います。


 さて、この式の意味というか、解釈についてなのですが、対数が「指数を求
める計算」であるということは以前お話しました(第0041号)。そのことから、
「2つの数を割り算した結果の指数は、もともともの数の指数同士を引き算す
れば求まる」という指数法則を、指数を取り出して「対数」として表現したも
のが上の(ホ)の式だと言えるのです。言葉で書き表そうとするとムズカシイ
ですね(T_T)自分でも何だかワケが分からない文章になってしまいました…


 つまり、こういうことです。

(1)xがaのs乗、yがaのt乗と表せたとする。
   式で書くと… x = a^s , y = a^t

(2)x÷y は a^s ÷ a^t だから、指数法則によって a^(s-t) となる。
   式で書くと… a^s ÷ a^t = a^(s-t)

 これを指数に着目して書いてやると、

(3)log_a (x÷y) ← x÷y の値がaの何乗かを求めたもの つまり s-t
   式で書くと… log_a (x÷y) = s - t

(4)log_a x ← xがaの何乗かを求めたもの つまり s
   式で書くと… log_a x = s

(5)log_a y ← yがaの何乗かを求めたもの つまり t
   式で書くと… log_a y = t

 最後に(3)のsとtに(4)(5)の式を当てはめて、一つにまとめると、
   log_a (x÷y) = log_a x - log_a y
となって、(ホ)の公式の出来上がりです。


 証明の手順もこれと全く同じですから、第0044号で書きました(ニ)の式に
ついての説明を参考にしながら、ぜひ自分でも証明を試みてください。


 公式の見方・使い方も、やはり(ニ)と同じで、左辺から右辺への変形と、
右辺から左辺への変形の2通りあります。


 注意点としては、

      x    log_a x
  log_a ── と ───── とは違う
      y    log_a y

ということを、しっかりと頭に入れておくということです。これは(ニ)の式
についても言えることで、

   log_a xy と log_a x ・ log_a y は別物

ということを、注意しておいてください。


 このあたりで意外と多くの人が間違えてしまいます。この話をしたときには、
「当たり前じゃん!」と思っていても、いざ log_a x ・ log_a y という式を
目の前にしたときに、つい log_a xy と変形してしまう人が出てきます。2つ
並べて、「違うんだよ」と言えばよく分かるのですが、単独で見ると迷いが出
てしまうということはよくあることです。


 逆に言えば、よくある間違いでもあるので、テストなどでこのような間違い
をしたら、「あ〜あ、やっちゃった(T_T)次は間違えないようにしよう!」
という風に考えて、クヨクヨしないようにしましょう!でも同じ間違いは繰り
返さないようにすることも大事ですからね!(笑)


 次回はいよいよ練習問題に入ります。




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  2.数学の森で迷子にならないために

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 数学の答案を採点していると、途中から何だか分からない計算に突入してし
まって、森の中で迷子になっているような答案をよく見かけます。場合によっ
ては、書いている本人はちゃんと解いているつもりでいるということもありま
す。その場合は迷子になっている自覚がないので、抜け出すのはけっこうムズ
カシイのです。


 まずは目標地点(=何を求めるのか)をしっかりと見定めておくことが大事
ですが、最初はそう思っていたのに途中から迷子になってしまう場合がありま
す。特に、解くのに何段階も必要とするような問題では、深い森に入り込んだ
ときのように自分の進む道が見えなくなってしまうのはよくあることです。で
は、どうしたら良いのでしょうか?


 残念ながら、これで一発解決!というような、とっておきの技は紹介できま
せん。むしろ誰か知っていましたら教えてください!(笑)


 まずは、迷子にならないように気をつけるにはどうしたらよいのかを考えて
みます。ありきたりのことでしかありませんが、

☆問題が何を求めさせようとしているのかを、途中で時々確認する
☆自分がやっている計算が何を求めようとしているものなのかを確認する
☆計算によって求められたものが何であるのかを確認する
☆複数のステップが必要な問題の場合には、今どこまで求められたのかを確認
 する

といったところでしょうか。要は、問題を解いている最中に、自分がやってい
ることを確認する作業をしましょう、ということです。


 自分の行動は自分ですべて把握できている、という人はなかなかいないもの
です。一般的な意味でも、自分のやっていることがどういう意味を持ち、全体
の中で他にどのような影響を及ぼすのか、自分の行動によってどのような結果
が引き起こされるのか、といったことを場面に応じて考えて行動している人が
どのくらいいるのでしょうか?私は案外少ないのではないかと思っています。


 数学の問題を解くときにも同じで、単純な問題であれば大して考える必要は
ありませんが、複雑な問題であればあるほど、自分のやっている計算が、どの
ような位置づけになっているのかを把握しようとすることは必要です。それと
同時に闇雲に森の中に入っていくのではなく、どういうルートを辿れば正解に
辿り着きそうかを考えることも必要です。時には、やってみてから考える、と
いうことも必要ですが、それでも途中で方向を見定めようとする作業をしなけ
ればなりません。


 次に、問題を解いている最中に迷子になってしまったらどうすればよいか?
について考えてみます。まずは、熱くなった頭を冷やすことにしましょう。そ
して、もう一度出発点に戻り、目標地点を確認することをしましょう。つまり
問題をもう一度読み返し、

☆問題の意味を取り違えているところはないか
☆問題の条件で見落としているものはないか
☆全体の中で今自分がやっていたことはどの辺りに位置するのか
☆計算の結果は何を求めたものなのか
☆計算の結果から求められるものは何か
☆計算に誤りはないか
☆違う方針は考えられないか

といったことをチェックしてみましょう。細部に入り込んでいると、自分の位
置が分からなくなってしまいます。ちょうど、鳥になって森を上から眺めるよ
うなつもりで、問題の森を眺めてみましょう。それでも解決の糸口が見つから
ないのであれば、自分にはなかなか思いつかない解き方が要求されている可能
性がありますので、解答を見てヒントを得るのも一つの手です。


 そうやって問題を解くときに繰り返し考えていくようにすれば、次第に自然
とそのような考え方が身についていき、方向性を見失うことが少なくなってい
くと思います。迷子になりがちなんだよな〜、という人は、試しにやってみて
ください。これによって数学の森で迷子になる確率が下がってくれれば幸いで
す(^^)




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 ようやくメルマガ復活できました。物理的に全く時間が取れなかったわけで
はないのですが、気力が完全に不足していました…。これからは、時間的にも
精神的にも少しゆとりができますので、メルマガ完全復活を目指したいと思い
ます。配信がしばらく途絶えてしまい、本当に申し訳ありませんでした。あら
ためてお詫び申し上げます。

─…───…───…───…───…───…───…───…───…─

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