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第0047号 対数の計算(その1)


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┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0047号 (2006/12/22)             ┃
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 数学の問題を解くに当たって、問題の場面が複雑である場合には、それを整
理しなおす、図や記号を使って書いてみる、といったことは、とても重要なこ
とです。よく言われることでもあるのですが、数学が苦手な人は、案外この部
分ができていなかったりします。数学の問題に限らず、物事を考えていく上で
必要なことですので、普段から「図解」「整理」を心がけるようにしてみまし
ょう。


 初めて読む方もいるかと思いますので、このメルマガでの記号の書き方につ
いての約束事を2、3書いておくことにします。


 ☆2乗、3乗などの表し方は、^2、^3とします。
 (例)xの2乗 ⇒ x^2

 ☆添え字は_1、_2といった形で書きます。
 (例)数列の初項、第2項などは ⇒ a_1、a_2
    対数の底a ⇒ log_a x



──Contents─────────────────────────────

 1.対数の計算(その1)
 2.練習問題

───────────────────────────────────


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  1.対数の計算(その1)

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 メルマガ第0002号でも書きましたが、問題を解く練習をするときには、まず
必要な公式を書き出しておきましょう。そしてそのメモを横に置き、分からな
くなったときには、書き出した公式のうちどれを使うのかを考えて解くように
練習してみてください。公式をある程度覚えたら、それらの公式を練習の前に
何も見ないで書けるかどうか試してみて、それから解き始めるようにしましょ
う。そうすると、公式を覚えているかどうかの確認にもなりますので、良いと
思います。


 前号までに導いてきた対数の基本公式を挙げておきます。

 (イ)log_a 1 = 0

 (ロ)log_a a = 1

 (ハ)log_a a^n = n

 (ニ)log_a xy = log_a x + log_a y

        x
 (ホ)log_a ── = log_a x - log_a y
        y

 (ヘ)log_a x^r = r・log_a x

これらの公式の使い方を簡単な例題を使って説明したいと思います。


【例題】次の対数の計算をしてください。

 (1) log_6 2 + log_6 3

 (2) log_3 54 - log_3 2

 (3) 2log_2 12 - log_2 9


 対数の計算をするときの基本方針は、(A)合体させる (B)分解する のどち
らかです。どちらの方針を選ぶかは、問題によって変わってきますが、個人的
な好みで決まることもあります(笑)一般的には「合体」は、一つにまつめて
計算することになるので、計算が楽になることも多いです。log の係数が分数
であるような問題の場合には、逆に計算が大変になるケースもあります。「分
解」は、バラバラにしていきますので、やや手間がかかりますが、単純作業の
繰り返しという感じでできます。まあ一長一短という気もしますので、どちら
の方法もマスターしておく必要があると思います。


 「合体」は(ニ)〜(ヘ)の式を「右辺→左辺」といった形で用いて変形し、
「分解」は「左辺→右辺」といった形で用いて変形します。対数の値を求める
ことができるような場合は、(イ)〜(ハ)を用いて値を求めます。


 では、実際に計算をしてみて、どのような使い方をしているのかを確認して
いきましょう。「合体」「分解」のどちらでもできる場合には、両方の計算を
示します。


【解答】

 (1) log_6 2 + log_6 3

 ☆方針(A)「合体」による計算

   log_6 2 + log_6 3 ─┐
              │公式(ニ)
  = log_6 (2×3)    ←┘

  = log_6 6 ─┐
         │公式(ロ)
  = 1    ←┘
   ~~~

 ☆方針(B)「分解」は使えません。(分解しようがないので…)


 (2) log_3 54 - log_3 2

 ☆方針(A)「合体」による計算

   log_3 54 - log_3 2 ─┐
              │公式(ホ)
       54       │
  = log_3 ──     ←┘
       2

  = log_3 27

  = log_3 3^3 ─┐
          │公式(ハ)
  = 3     ←┘
   ~~~

 ☆方針(B)「分解」による計算

   log_3 54 - log_3 2

  = log_3 (3^3 × 2) - log_3 2   ─┐
                    │公式(ニ)
  = log_3 3^3 + log_3 2 - log_3 2  ←┘

  = log_3 3^3 ─┐
          │公式(ハ)
  = 3     ←┘


 (3) 2log_2 12 - log_2 9

 ☆方針(A)「合体」による計算

   2log_2 12 - log_2 9  ─┐
                │公式(ヘ)
  = log_2 12^2 - log_2 9  ←┘
               ─┐
      144        │公式(ホ)
  = log_2 ──       ←┘
       9

  = log_2 16

  = log_2 2^4 ─┐
          │公式(ハ)
  = 4     ←┘
   ~~~

 ☆方針(B)「分解」による計算

   2log_2 12 - log_2 9

  = 2log_2 (2^2 × 3) - log_2 3^2   ─┐
                      │公式(ニ)
  = 2(log_2 2^2 + log_2 3) - 2log_2 3 ←┤
                      │公式(ハ)
  = 2(2 + log_2 3) - 2log_2 3     ←┘

  = 4 + 2log_2 3 - 2log_2 3

  = 4
   ~~~


 「分解」の方がやや手間が掛かるという感じがしますが、自分がやりやすい
と感じる方法を選ぶのがよいと思います。まずは基本的な問題で、どちらでも
解けるように練習しましょう。




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  2.練習問題

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【練習問題】次の対数の計算をしてください。

             3
 (1) log_3 15 + log_3 ──
             5

 (2) log_2 48 - log_2 3


 (3) log_3 24 - 3log_3 2


 解答は次号で。




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 今回の練習問題は、次回までの宿題です。え〜〜、そんなのイヤだ!という
声が聞こえてきそうですが(笑)、ぜひ頑張って取り組んでみてください。こ
れから、こういった形で宿題を出していきたいと思います。堅苦しく考えずに、
お気楽に取り組んでいただけたら、と思います(^^)

─…───…───…───…───…───…───…───…───…─

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