第0049号 対数の計算(その3)
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┃ 数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜 ┃
┃ 第0049号 (2006/12/28) ┃
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高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、問題の解き方、考
え方についてちょっとしたヒントを毎週お届けします。
今回の配信が年内最後になります。年明けは、1月の第2週目から配信開始
の予定です。
初めて読む方もいるかと思いますので、このメルマガでの記号の書き方につ
いての約束事を2、3書いておくことにします。
☆2乗、3乗などの表し方は、^2、^3とします。
(例)xの2乗 ⇒ x^2
☆添え字は_1、_2といった形で書きます。
(例)数列の初項、第2項などは ⇒ a_1、a_2
対数の底a ⇒ log_a x
──Contents─────────────────────────────
1.対数の計算(その3)
2.前回の練習問題の解答
3.練習問題
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1.対数の計算(その3)
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対数の計算に少し慣れてきましたでしょうか?今回は方針(A)「合体」で計
算するときの、ちょっとした計算の工夫について紹介したいと思います。
今回は基本公式を載せませんので、自分でまずは書いてみてください。全部
で6つありましたよ。そんなの覚えてないよ〜、とか、今回初めて読んだから
分からん、という方は、バックナンバー第0047号か第0048号をご覧ください。
また、書いてみた公式の答え合せにもどうぞ。
⇒ 第0047号 http://mathemaster.com/magback0047.htm
第0048号 http://mathemaster.com/magback0048.htm
【例題】次の対数の計算をしてください。
16
(1) 4log_2 24 + 2log_2 ──
9
(2) 3log_3 18 - 2log_3 60 + log_3 50
どちらの計算も、前回までと同じようにやろうとすると、24^4や18^3などを
計算しなければいけません。それを真正面からやってしまうと、間違える危険
性が非常に高くなります。もちろん、それ以外に方法がなければ仕方ありませ
んが…。
ここで紹介する方法は、実は「分解」するときにすでに使っているものです。
それは…「素因数分解」です。真数を素因数分解して、さらに「指数法則」を
利用して計算することで、一つ一つの計算を極力ラクにしよう、とするもので
す。
素因数分解??指数法則???なんじゃそりゃ!?という方もいるかと思い
ます。聞いたことはあるけど、よう分からん!という方もいるでしょう(笑)
素因数分解については、メルマガ第0011号に書いてありますので、そちらを参
照してください。指数法則についても、対数の計算の基本公式を導くところで
こっそりと(笑)使っていたのですが、ここであらためて載せておきたいと思
います。(理由の説明は抜きです。。。スミマセン)
【指数法則】
(A) a^s × a^t = a^(s + t)
(日本語訳)底が等しいもの同士の掛け算は、指数同士を足せばイイ
(B) a^s ÷ a^t = a^(s - t)
(日本語訳)底が等しいもの同士の割り算は、指数同士を引けばイイ
(C) (a × b)^s = a^s × b^s
(日本語訳)aとbを掛けたものをs乗した結果は、先にaとbをそれぞれs乗
しておいてから掛けたものと等しい
(D) (a ÷ b)^s = a^s ÷ b^s
(日本語訳)aとbを割ったものをs乗した結果は、先にaとbをそれぞれs乗
しておいてから割ったものと等しい
(E) (a^s)^t = a^(st)
(日本語訳)ある数をs乗したものをさらにt乗した結果は、ある数をst乗
したものと等しい
ここでは、特に(C)〜(E)をメインとして使います。もちろん、(A)も(B)も使
いますけどね(^^)それと、割り算は分数に直すこともできますので、分数の
場合にも(B)や(D)が使えます。
○
○ ÷ △ = ──
△
(÷の左が分子、÷の右が分母になります)
【解答】
16
(1) 4log_2 24 + 2log_2 ──
9
まずは24、16、9を素因数分解して、それから計算していきます。
16
4log_2 24 + 2log_2 ──
9
2^4
= 4log_2 (2^3 × 3) + 2log_2 ──
3^2
(2^4)^2
= log_2 (2^3 × 3)^4 + log_2 ────
(3^2)^2
2^8
= log_2 (2^12 × 3^4) + log_2 ──
3^4
2^8
= log_2 (2^12 × 3^4 × ── )
3^4
= log_2 2^20
= 20
~~~~
(2) 3log_3 18 - 2log_3 60 + log_3 50
これも、(1)と同じように、まずは真数を素因数分解してから、計算してい
きます。
3log_3 18 - 2log_3 60 + log_3 50
= 3log_3 (2 × 3^2) - 2log_3 (2^2 × 3 × 5) + log_3 (2 × 5^2)
= log_3 (2 × 3^2)^3 - log_3 (2^2 × 3 × 5)^2 + log_3 (2 × 5^2)
= log_3 (2^3 × 3^6) - log_3 (2^4 × 3^2 × 5^2) + log_3 (2 × 5^2)
2^3 × 3^6 × 2 × 5^2
= log_3 ────────────
2^4 × 3^2 × 5^2
= log_3 3^4
= 4
~~~
どこの変形に何の公式を使っているのかを、よく確認してみてください。メ
ルマガでの式の書き方は特殊ですので、よく分からない場合は、普通の書き方
に自分で直してみて、その上で考えてみると分かると思います。
また、「分解」による計算はここには載せませんので、試しに自分でやって
みて、違いを比べてみてください。その上でどちらの計算がラクかとか、どち
らのやり方が好みがとかを考えてみてほしいと思います。そうすることで計算
練習にもなりますしね♪
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2.前回の練習問題の解答
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【解答】
2 5
(1) log_3 ── + log_3 ──
15 2
〔解答1〕方針(A)「合体」
2 5
log_3 ── + log_3 ──
15 2
2 5
log_3 (── × ──)
15 2
1
= log_3 ──
3
= log_3 3^(-1)
= -1
~~~~
〔解答2〕方針(B)「分解」
2 5
log_3 ── + log_3 ──
15 2
= log_3 2 - log_3 (3 × 5) + log_3 5 - log_3 2
= - (log_3 3 + log_3 5) + log_3 5
= - (1 + log_3 5) + log_3 5
= -1 - log_3 5 + log_3 5
= -1
~~~~
3
(2) 3log_2 6 - log_2 18 - log_2 ──
8
〔解答1〕方針(A)「合体」
3
3log_2 6 - log_2 18 - log_2 ──
8
3
= log_2 (2 × 3)^3 - log_2 (2 × 3^2) - log_2 ──
2^3
3
= log_2 {2^3 × 3^3 ÷ (2 × 3^2) ÷ ──}
2^3
2^3 × 3^3 × 2^3
= log_2 ──────────
2 × 3^2 × 3
= log_2 2^5
= 5
~~~
〔解答2〕方針(B)「分解」
3
3log_2 6 - log_2 18 - log_2 ──
8
= log_2 (2 × 3)^3 - log_2 (2 × 3^2) - (log_2 3 - log_2 2^3)
= log_2 (2^3 × 3^3) - (log_2 2 + log_2 3^2) - (log_2 3 - 3)
= log_2 2^3 + log_2 3^3 - (1 + 2log_2 3) - log_2 3 + 3
= 3 + 3log_2 3 - 1 - 2log_2 3 - log_2 3 + 3
= 5
~~~
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3.練習問題
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【練習問題】次の対数の計算をしてください。
(1) 2log_5 180 - 4log_5 30
4
(2) 3log_2 12 + 2log_2 ── - log_2 24
3
解答は次号で。
─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──
早いもので今年もあと少しとなりました。来年が皆様にとって良い年であり
ますように。1年間ありがとうございました。
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