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第0048号 対数の計算(その2)


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┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0048号 (2006/12/25)             ┃
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 高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、問題の解き方、考
え方についてちょっとしたヒントを毎週お届けします。

 メリークリスマス♪みなさんはサンタクロースに何をお願いしましたか!?
って、そんな歳ではありませんよね、、、多分(笑)うちにも中3と小6の子
どもが2人いますが、もうサンタクロースを信じる年齢ではなくなってしまい
ました。ちょっとさびしいのですが、「成長した」ということを喜ぶことにし
たいと思います。


 初めて読む方もいるかと思いますので、このメルマガでの記号の書き方につ
いての約束事を2、3書いておくことにします。


 ☆2乗、3乗などの表し方は、^2、^3とします。
 (例)xの2乗 ⇒ x^2

 ☆添え字は_1、_2といった形で書きます。
 (例)数列の初項、第2項などは ⇒ a_1、a_2
    対数の底a ⇒ log_a x



──Contents─────────────────────────────

 1.対数の計算(その2)
 2.前回の練習問題の解答
 3.練習問題

───────────────────────────────────


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  1.対数の計算(その2)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 対数の計算で使う公式はそれほど多くありません。そんなに複雑でもありま
せん。それをどのように使うのかは、理解すると同時に、練習によって身体で
覚えるようにしましょう。


 今回も対数の基本公式を挙げておきます。前回同様、何も見ないですべて書
けるかどうか、自分で自分をテストしてみましょう!

 (イ)log_a 1 = 0

 (ロ)log_a a = 1

 (ハ)log_a a^n = n

 (ニ)log_a xy = log_a x + log_a y

        x
 (ホ)log_a ── = log_a x - log_a y
        y

 (ヘ)log_a x^r = r・log_a x


 今回の計算は、ちょっと違ったパターンと、少し複雑なものにチャレンジし
てみたいと思います。


【例題】次の対数の計算をしてください。

            1
 (1) log_2 3 + log_2 ──
            24

 (2) log_3 12 - log_3 48 + 2log_3 6


 前回同様に基本方針は、(A)合体させる (B)分解する のどちらかです。


【解答】

            1
 (1) log_2 3 + log_2 ──
            24

 ☆方針(A)「合体」による計算

            1
   log_2 3 + log_2 ── ─┐
            24   │
               │公式(ニ)
         1      │
  = log_2 (3×──)    ←┘
         24

       1
  = log_2 ──
       8

       1
  = log_2 ──  ─┐
       2^3   │※
           │
  = log_2 2^(-3) ←┘
           │公式(ヘ)
  = -3      ←┘
   ~~~

 ※の部分の変形は、

      1
 a^(-n) = ──
      a^n

という公式を用いています。この公式を使わずに計算する方法もあります。こ
こで基本公式(ホ)により「分解」をして、基本公式(イ)を利用します。

       1
   log_2 ──   ────┐
       2^3       │※
               │公式(ホ)
  = log_2 1 - log_2 2^3 ←┘
   ~~~│~~  ~~~~~~│~~
     │公式(イ) │公式(ハ)
     ↓      │
  =  0 - 3 ←──┘

  = -3
   ~~~

 ☆方針(B)「分解」による計算

 最初から上記の方法により、分解していきます。

            1
   log_2 3 + log_2 ──  ────┐
            24       │公式(ホ)
                   │
  = log_2 3 + log_2 1 - log_2 24 ←┘
        ~~~│~~
          │公式(イ)
          ↓
  = log_2 3  + 0 - log_2 (2^3×3)

  = log_2 3 - (log_2 2^3 + log_2 3)

  = log_2 3 - (3 + log_2 3)

  = log_2 3 - 3 - log_2 3

  = -3
   ~~~


 (2) log_3 12 - log_3 48 + 2log_3 6

 ☆方針(A)「合体」による計算

 3つのlogの項がある場合の「合体」はどうするか?というのが、この問題
のテーマなのですが、基本的な考え方である

  - log ⇒「真数の割り算」
  + log ⇒「真数の掛け算」

を項が3つ以上の場合にも適用します。それも一度に使うことができます。こ
こでは証明は抜きにしますが、公式(ニ)と公式(ホ)を合わせて使うことが
可能なのです。もちろん、2つずつペアにして順番に「合体」させていっても
構いません。(というより、それが公式の基本の使い方なんですが…)その場
合でも、最初に「合体」したものを計算せずに、次の「合体」をすると同じ式
になります。それによって、この方法が正しそうだということも実感できると
思います。


 とにかく、実際にやってみましょう。


   log_3 12 - log_3 48 + 2log_3 6  ─┐
                     │公式(ヘ)
  = log_3 12 - log_3 48 + log_3 6^2 ←┘

  = log_3 12 - log_3 48 + log_3 36 ┐
                   │公式(ニ)と(ホ)の同時使用
  = log_3 (12 ÷ 48 × 36)  ←──┘

       12 × 36
  = log_3 ─────
        48

  = log_3 9

  = log_3 3^2

  = 2
   ~~~

 ☆方針(B)「分解」による計算

 「分解」をしていく場合には、項がいくつあっても変わりません。今までも
「分解」して項が増えた状態で計算をしてきたのですから!(笑)式が長くな
るだけの話です(T_T)

   log_3 12 - log_3 48 + 2log_3 6

  = log_3 (2^2 × 3) - log_3 (2^4 × 3) + 2log_3 (2 × 3)

  = log_3 2^2 + log_3 3 - (log_3 2^4 + log_3 3) + 2(log_3 2 + log_3 3)

  = 2log_3 2 + 1 - (4log_3 2 + 1) + 2(log_3 2 + 1)

  = 2log_3 2 + 1 - 4log_3 2 - 1 + 2log_3 2 + 2

  = 2
   ~~~

 「分解」はいったんバラバラにしますので、式が長くなり大変なのですが、
最後にキレイに消えていったりするので、私はけっこう好きです(笑)このや
り方は好きだなとか、これは何だかスマートじゃないな、といった「解き方を
鑑賞する気持ち」を持って勉強に取り組むと、数学の楽しさが一段と感じられ
ると思います。まだそこまでの余裕はないよ(涙)という人もいるでしょうが、
ちょっとした気持ちの持ち方でずいぶん変わるものですから、頭の片隅にでも
置いておいてください。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  2.前回の練習問題の解答

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 前回の問題はいかがでしたでしょうか?まだ、やっていないという方は、い
つでも構いませんから、取り組んでみてください。


【練習問題】次の対数の計算をしてください。

             3
 (1) log_3 15 + log_3 ──
             5

〔解答1〕方針(A)「合体」

             3
   log_3 15 + log_3 ──
             5

           3
  = log_3 (15 × ──)
           5

  = log_3 3^2

  = 2
   ~~~

〔解答2〕方針(B)「分解」

             3
   log_3 15 + log_3 ──
             5

  = log_3 (3 × 5) + log_3 3 - log_3 5

  = log_3 3 + log_3 5 + 1 - log_3 5

  = 1 + 1

  = 2
   ~~~


 (2) log_2 48 - log_2 3

〔解答1〕方針(A)「合体」

   log_2 48 - log_2 3

       48
  = log_2 ──
       3

  = log_2 16

  = log_2 2^4

  = 4
   ~~~

〔解答2〕方針(B)「分解」

   log_2 48 - log_2 3

  = log_2 (2^4 × 3) - log_2 3

  = log_2 2^4 + log_2 3 - log_2 3

  = 4
   ~~~


 (3) log_3 24 - 3log_3 2

〔解答1〕方針(A)「合体」

   log_3 24 - 3log_3 2

  = log_3 24 - log_3 2^3

  = log_3 24 - log_3 8

       24
  = log_3 ──
       8

  = log_3 3

  = 1
   ~~~

〔解答2〕方針(B)「分解」

   log_3 24 - 3log_3 2

  = log_3 (2^3 × 3) - 2log_3 2

  = log_3 2^3 + log_3 3 - 2log_3 2

  = 3log_3 2 + 1 - 2log_3 2

  = 1
   ~~~




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  3.練習問題

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【練習問題】次の対数の計算をしてください。

       2      5
 (1) log_3 ── + log_3 ──
       15      2

                  3
 (2) 3log_2 6 - log_2 18 - log_2 ──
                  8

 解答は次号で。




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 今回の練習問題は、次回までの宿題です。え〜〜、そんなのイヤだ!という
声が聞こえてきそうですが(笑)、ぜひ頑張って取り組んでみてください。こ
れから、こういった形で宿題を出していきたいと思います。堅苦しく考えずに、
お気楽に取り組んでいただけたら、と思います(^^)

─…───…───…───…───…───…───…───…───…─

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 現役高校数学教師が送る「数学マスターへの道」(週2回発行)
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