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第0050号 『虹色★ロケット』

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┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0050号 (2007/01/12)             ┃
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 高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、問題の解き方、考
え方についてちょっとしたヒントを毎週お届けします。

 新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。こ
の年末年始、皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか?私はとってものんびり
過ごすことができました。箱根駅伝を2日続けて、1区から最後まで見たのは
恐らく初めてです(^^)ただ、そのせいで肩凝りがひどくなってしまいました
ので、それも善し悪しかと。。。(苦笑)


 初めて読む方もいるかと思いますので、このメルマガでの記号の書き方につ
いての約束事を2、3書いておくことにします。


 ☆2乗、3乗などの表し方は、^2、^3とします。
 (例)xの2乗 ⇒ x^2

 ☆添え字は_1、_2といった形で書きます。
 (例)数列の初項、第2項などは ⇒ a_1、a_2
    対数の底a ⇒ log_a x



──Contents─────────────────────────────

 1.映画『虹色★ロケット』を観ました
 2.大学での数学の勉強で困ったこと

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  1.映画『虹色★ロケット』を観ました

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 1月4日から上映されている映画『虹色★ロケット』を7日に観てきました。
上映しているのは、東京世田谷のトリウッドです。普通の映画を観てきただけ
であれば、このメルマガの記事にすることもないと思うのですが、実はこの映
画、スタッフは全員高校生で、出演者もほとんど高校生なんです。大人は一部
のキャストで先生が出ているだけです。監督、脚本、編集、音楽、主題歌など
自分達の力で全て創り上げたのです!製作は2005年10月〜12月。当時高校3年
生だった千葉県の県立高校の生徒達の映画制作チーム「ラチメリア・カルムナ
エ」(シーラカンスの学名から取ったそうです)が、学校生活と受験勉強の合
間を縫って撮影・編集を行いました。このあたりの、製作に至るまでの経緯や
トリウッドで上映することになった経緯などについては、東京新聞のホームペ
ージや公式ホームページをご覧ください。この記事の最後にURLを掲載して
おきます。


 さて、ブログの方にもこの映画に関する感想を載せていますが、少しでも多
くの方に知っていただき、観てほしいと思い、メルマガでも紹介することにし
ました。ブログではストーリーについては触れませんでしたが、ここでは公式
に紹介されている範囲内で書かせていただきます。


┏━━【ストーリー】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃                                 ┃
┃  難病に冒され、壮絶な過去を持つユカが「芸術的銀河科」に転校し ┃
┃ てきた。「芸術的銀河科」は生徒達が作った科であり、そこには薬物 ┃
┃ 依存やイジメ、恋人の死など様々な過去を生きてきた生徒たちがいた。┃
┃ ユカは持ち前の明るさで仲間たちに溶け込んでいったが、ある不思議 ┃
┃ な力と秘密を持っていた。                    ┃
┃                                 ┃
┃  過去を乗り越えて前向きに生きようとする仲間の中で、ただ一人、 ┃
┃ 自殺未遂をしたミナミだけが、「それ」を乗り越えられずにいた。誰 ┃
┃ にもミナミの考えを変えることができずにいたのだが、ついに「ミナ ┃
┃ ミ(=死にたい者)」の「想い」と、全てを捨てても変えようと決意 ┃
┃ した「ユカ(=生きたい者)」の「覚悟」が衝突する!そして…   ┃
┃                                 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


 ユカを含めた芸術的銀河科の7人、ミズキ、ヤブ医者ハルカ、意地悪な神様、
顧問の先生トムが織りなす物語は、観た人に感動と生きる力と多くのことを考
えるきっかけを与えてくれると思います。上に書いたストーリーは公式ページ
を参考にして書きましたので、そちらと結局ほとんど同じになってしまいまし
た(涙)


 シネマトゥデイで紹介されているストーリーと、それをそのまま使っている
Yahoo!映画のストーリーでは、ヒロインがミナミと書かれていますが、ヒロイ
ンはユカの方ですので、そちらを見た方はお間違えなく(私がよっぽど勘違い
をしていない限りですが…)。ミナミも重要な役であるのは確かですし、クラ
イマックスでのミナミの台詞に熱いものが込み上げてきたのは誰あろう、この
私です(笑)(台詞自体は普通の言葉なんですが。。。それが何か書けないの
がもどかしいデス)でも、ヒロインはやっぱりユカだと思います。シネマトゥ
デイのストーリーを書いた方は映画を観ずに書いたのかな、、、と勘繰ってし
まいました。本筋から外れますので、この件はオシマイにしましょう。


 出演者が皆それぞれに個性を出し、輝いていましたが、私は個人的に、神様、
ミナミ、ヒロエが好きです。ブログにも書きましたが、ミナミが思い悩んでい
たことと同じことを、私自身考えていた時期がありました。それによって「死
ぬ」ことを考えなかったのは、そこまで真剣に考えていなかったせいかもしれ
ませんが、「死」よりは「生きて」何事かを成したいと思ったのは確かです。
誰にとっても「生」と「死」は背中合わせで、危ういバランスで辛うじて「生」
の側にとどまっているだけなのかもしれません。映画の中には、ドキッとさせ
られる台詞がたくさん出てきます。同世代の中学生・高校生、中学生・高校生
を子供に持つ大人たち、学校の先生はもちろんのこと、多くの人たちに観てほ
しいと感じさせる映画でした。


 期待ばかりが膨らみ過ぎると、実際に観たときに、自分の中で膨らんだ期待
とのギャップを感じてしまうことがあります。そうすると素直な気持ちで観て
貰えないかも知れないと思い、ブログではちょっと辛口なことも書きました。
すなわち、これは「プロが作った映像ではない」ということです。「高校生」
が作ったものとは思えないというのは確かですが、だからといって「プロ」が
作ったものと同等のクオリティを期待して観ることは酷だと思います。しかし、
そこを比較したくなるほど、「見せてくれる」映画でもあります。


 ブログやmixiの日記に『虹色★ロケット』を観てきた感想などを書きました
ところ、何と制作メンバーの方からコメントをいただきました!とても嬉しか
ったですねぇ。公式ページの掲示板への書き込みなどをしていなかったので、
見てもらえるとは思ってもいませんでしたから、ビックリでした。


 CDの販売や、DVDの制作についての話もあるようですが、最新情報は公
式ホームページでお知らせされるそうです。以下に公式ページなどのURLを
載せますので、ぜひ一度ご覧ください。


 『虹色★ロケット』予告編@youtube
  ⇒ http://www.youtube.com/watch?v=_JKBCezXs5E

 『虹色★ロケット』公式ホームページ
  ⇒ http://mippi.jp/7colorsrocket/

 『虹色★ロケット』公式ブログ
  ⇒ http://blog.livedoor.jp/latimeriachalumnae/


<客席数>
 46席(こじんまりとしたカワイイ映画館です♪)

<鑑賞券>
 大人1,000円、高校生以下700円

<タイムテーブル>
 (12:30)/14:00/15:30/17:00/20:00
 カッコ内は1/4、5と土日祝のみ上映
 ※1/13(土)、14(日)は、レンタルスペースのため休映
 ※休館日…火曜日

<所在地>
 東京都世田谷区代沢5-32-5-シェルボ下北沢2F
 (小田急線・京王井の頭線下北沢駅から徒歩7〜8分くらい)
 TEL 03-3414-0433

 詳細は短編映画館「トリウッド」のホームページをご覧ください。
  ⇒ http://homepage1.nifty.com/tollywood/




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  2.大学での数学の勉強で困ったこと

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 大学時代に数学を勉強していて困ったことは、たくさんありますが(笑)、
その中でも一番に困ったのは、教科書に載っている練習問題の解答が、結果し
か書いていなかったり、ヒドイ時には「略」となっていたりしたときです。証
明も簡単にしか書いていないことが多く、簡単な証明の場合には、「自明」と
なっていることもありました。

「自明」=「特に証明などをしなくても、明らかであること。わかりきってい
ること」

それなら、証明の問題として出すなよーーー!と思ったものですが、でも「明
らかである」とは到底思えないのです。つまり、分かってないんですよね。ど
うして「自明」なのかが分からないのです。そこを知りたくても書かれていな
い…困りましたね(涙)考えて、分かったときには、「なるほど、確かに自明
だ」と思えるのですが、そこにいくまでの橋渡しがないのです。もっとも、大
学での数学の勉強ですから、そこを自分で考えることが大切なのでしょうが。


 簡単なはずのところでつまづいている時には、大抵は定義をよく把握してい
なかったり、その解釈の仕方や使い方が分からなかったり、あるいは説明され
ている内容が理解できていなかったりといった感じでした。そして、問題を解
いたりするなどの練習が不足していると、内容が進んでいったときに分からな
くなっていくことが多かったです。


 これは中学や高校の数学を学習する場合にも当てはまることだと思っていま
す。以前にも書きましたが、内容の理解と練習して身につけることのどちらも
大切であると言えます。そして、学習している内容や問題の解き方・考え方に
ついてのポイントを押さえることも大事です。言い換えると、教員はそこを押
さえて教えなければならないのだと思います。そしてそれと同時に、すべてを
教えるのではなく、自分で考える方法を教え、自分で考えなければならないよ
うな適切な場面を設定できれば最高だと思います。それは理想ですが、簡単に
はいかないのも現実です。必要な所は教え、かつ教え過ぎない…難しいですね
(涙)


 このメルマガもそういった試みの一つと考えていますが、丁寧に説明しよう
と思う余り、書き過ぎている気もします。その一方で、文字のみで伝えること
の限界を感じることもありますし、インタラクティブでないことの不便さも感
じます。一人で数学を勉強することの難しさもそこにあるように思います。マ
イペースで勉強することを基本とし、理解を深めたり進めたりするような言葉
を掛け、適度な困難さと困ったときのヒントやアドバイスを適宜与えることが
できたらいいのですが…。学校での授業は、リアルタイムで質問などが可能で
すが、逆に自分のペースで勉強することが難しいということがあります。一長
一短ですね。


 大学の勉強で困ったときには、関連する本やイメージを使って説明している
本を探しに行ったり、問題集を買ってきたりとあれこれやっていました。試験
の時には解き方を覚えたりしたときもありましたが、先に進むととたんに困っ
てしまいます。そういった経験をもとに、授業で話をしたり、メルマガを書い
たりしています。私自身、まだまだ勉強不足です。数学に関しても、教員とし
ても、人間としても…。精進あるのみ、です!


 今年も頑張ってメルマガを発行し、1人でも多くの人が数学で苦しまずに、
むしろ楽しめるようになれるよう努めていきたいと思います。次回から、また
対数の計算の続きをやっていきます。




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 年末年始に録りながら、まだ見ていないTV番組がたくさんあります。実を
言うと去年のお正月に録ったドラマで見ていないのもあるのです(涙)いつに
なったら見られることやら。。。

─…───…───…───…───…───…───…───…───…─

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