<< 前の記事へ      目次へ戻る      次の記事へ >>

第0060号 平方完成のカタチ(その1)

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0060号 (2007/08/28)             ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

 高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、問題の解き方、考
え方についてちょっとしたヒントを毎週お届けします。

 長い間発行できずにいて、申し訳ありませんでした。何と前号を発行してか
ら4ヶ月近くも経ってしまいました(汗)前号で今年度特進クラスの担任にな
ったと書きましたが、1学期はかなり忙しかったです。正直、これほど忙しい
とは思っていませんでした。ちょっと舐めてましたね(苦笑)

 続きは編集後記で。


 初めて読む方もいるかと思いますので、このメルマガでの記号の書き方につ
いての約束事を2、3書いておくことにします。


 ☆2乗、3乗などの表し方は、^2、^3とします。
 (例)xの2乗 ⇒ x^2

 ☆添え字は_1、_2といった形で書きます。
 (例)数列の初項、第2項などは ⇒ a_1、a_2
    対数の底a ⇒ log_a x



──Contents─────────────────────────────

 1.平方完成のカタチ(その1)
 2.最近読んだ本
    宋文洲著『仕事ができない人は話も長い』

───────────────────────────────────


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  1.平方完成のカタチ(その1)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 平方完成の技術的な話は「平方完成の極意」シリーズ(第36号〜第39号)で
述べましたが、実際に使うときには、ただ平方完成ができるだけでは不十分で
す。平方完成をどういうときに使うのか、平方完成をするとどういう良いこと
があるのかを知らなければなりません。それが欠けていると、計算はできるけ
ど使えない、問題が解けないということになってしまうのです。

バックナンバー目次(第21号〜第40号)
 → http://mathemaster.com/magback_index2.htm


 2次方程式を解くときや2次関数の頂点を求めるときなどに「平方完成」は
使われます。「平方完成」が苦手という人の中には、「そもそも平方完成って
何がしたいの?」と思っている人もいるのではないかと思います。そこで、平
方完成は何をしようとしているのか?平方完成をするとどんなイイコトがある
のか?について、書いていきたいと思います。


 まず、平方完成をする対象ですが、「平方=2乗」というくらいですから、
相手にしているのは2次式です。しかも、ある特定の文字についての2次式で
す。つまり、「○^2」という項があり、それが最も高い次数になっている式が
対象です。(特殊なケースとして、4次式や6次式などを平方完成する場合も
ありますが、それも基本的な考え方としては、それらを「2次式」とみなして
変形していくことになります)


 2次式の一般的な形は、特定の文字について

   (2次の項)+(1次の項)+(定数項)

となっていますが、平方完成では定数項はオマケみたいなものです。問題とな
るのは、2次の項と1次の項なのです。


 たとえばxの2次式があったとします。2次の項と1次の項のセットは、一
般的にはa、bを定数として、

  ax^2 + bx

と表すことができます。

※a、bは文字なんですが、普通の数と同じような気持ちで見てやります。
 第25号〜第28号の「文字式を見るときの気持ち」シリーズをお読みください。
バックナンバー目次(第21号〜第40号)
 → http://mathemaster.com/magback_index2.htm


 この「ax^2 + bx」を (xの1次式)^2 + 定数 というカタチに変形すること
を平方完成と呼ぶのです。すなわち、文字xを(  )^2 の中に全部押し込んで、
(  )^2 の外には定数しかない、という状態にするのです。

  ax^2 + bx → a(  )^2 + △
               ↑
               └─定数のみ、xなし
                 ~~~~~~~~~~~~~~~
 この「(  )^2 の中以外にはxがない」というところがミソなわけです。

                            (次号へ続く)




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  2.最近読んだ本
    宋文洲著『仕事ができない人は話も長い』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ソフトブレーンの創業者でもある宋文洲氏のメルマガを再編集した本です。
メルマガ刊行当初は、各企業の経営者などを含めた、付き合いのある方だけを
対象にしたメルマガであり、非公開だったそうです。現在は、バックナンバー
がソフトブレーンのHP上で公開されており、メルマガの申し込みもできます。
(私もメルマガ読者の一人です)

ソフトブレーンHP
 → http://www.softbrain.co.jp

メルマガバックナンバーページ
 → http://www.softbrain.co.jp/mailmaga/list.html


 仕事に関して若干自信を失いかけていたときでしたので、この本のタイトル
は、けっこう心に突き刺さるところがありましたね(笑)そういえば、最近話
が長くなっているような気がする…、といった具合にです。


 書かれている内容は、普段考えていなかった事柄が多かったので、なるほど
と思うことが多くありました。教育と関わりのある話もありますが、それ以外
の話からも、「教育」という自分の仕事に関して多くの示唆を得ることができ
ました。


 普段から経営や経済のことに触れている片にはそうではないのかもしれませ
んが、私にとってはとても新鮮で、大いに刺激を受けました。


 私が読んでいてとても印象深かったのは、『「完璧」への代償』という文章
でした。とかく「完璧」を求めようとする傾向が私自身にあるので、自分の仕
事や生徒への指示など、考え直すべき点が多くありました。(完璧を求めたっ
て、結局は「完璧」になど出来ていないんですけどね…苦笑)


宋文洲著『仕事ができない人は話も長い』
 → http://www.mathemaster.com/books0011.htm




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 特進クラスというと自分でどんどん勉強していく生徒ばかりいる、というイ
メージがあるかと思いますが、そうとも限らないんですよね…。勉強の方法が
分からない生徒にはそれを教えたり、勉強する習慣をつけさせるように指導し
たりしなければなりません。もちろん、何も言わなくても勉強していける生徒
もいます。ただ、そういった生徒たちも含めて、勉強に対するモチベーション
を維持させるために、手を変え品を変え指導しています。時には厳しく叱責し
たり、時には褒めたり励ましたりと。生徒たちにしてみれば、いつも叱られて
いるように感じているかもしれませんが(笑)
 1学期の終わりになって、ようやく勉強の態勢が整ってきたような感じがし
ます。自分たちでどんどん勉強するようになってくれるとラクなんですけどね。
当分はまだ手が掛かりそうです(苦笑)


─…───…───…───…───…───…───…───…───…─

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 現役高校数学教師が送る「数学マスターへの道」(週2回発行)
 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/
 配信中止はこちらから→ http://www.mag2.com/m/0000184672.html
 ご意見・ご感想などはこちらへお願いします。
 → E-Mail math_master@hotmail.co.jp
 → BLOG  http://sora.mathemaster.com/
 バックナンバーはこちら
 → http://mathemaster.com/magback_index.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 このメルマガに掲載された記事の無断転載・引用を禁じます。


<< 前の記事へ      目次へ戻る      次の記事へ >>