第0061号 平方完成のカタチ(その2)

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┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0061号 (2007/08/31)             ┃
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 高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、問題の解き方、考
え方についてちょっとしたヒントを毎週お届けします。

 7月にネットで、念願のマクロレンズを買いました。以前から花のクローズ
アップ写真を撮りたい思っていて、いつかは手に入れようと思っていました。
高いのはめちゃめちゃ高いのですが、今回手に入れたのは、手頃な値段のもの
です(笑)実は、この夏に撮りに行きたいと思っていた花があったんです。

 続きは編集後記で。


 初めて読む方もいるかと思いますので、このメルマガでの記号の書き方につ
いての約束事を2、3書いておくことにします。


 ☆2乗、3乗などの表し方は、^2、^3とします。
 (例)xの2乗 ⇒ x^2

 ☆添え字は_1、_2といった形で書きます。
 (例)数列の初項、第2項などは ⇒ a_1、a_2
    対数の底a ⇒ log_a x



──Contents─────────────────────────────

 1.平方完成のカタチ(その2)
 2.数学学習のコツ(その1)
    「繰り返し解く」

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  1.平方完成のカタチ(その2)

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 前号で「ax^2 + bx」を (xの1次式)^2 + 定数 というカタチに変形するこ
とを平方完成と呼ぶという話をしました。文字xを(  )^2 の中に全部押し込
んで、(  )^2 の外には定数しかないという状態がどういう状態なのか、具
体的な式で形を確認したいと思います。


【平方完成されたカタチ】

  ax^2 + bx → a(  )^2 + △
               ↑
               └─定数のみ、xなし
                 ~~~~~~~~~~~~~~~

 (x - 2)^2 + 5  ・・・◎ 平方完成された式です

 3(x + 1)^2 - 4  ・・・◎ 平方完成された式です

 -(x + 3)^2 - 7  ・・・◎ 平方完成された式です

 (x + 4)^2 + 2x  ・・・× 平方完成された式ではありません
               → (  )^2 の外に2xがあります

 x(x - 3) + 4   ・・・× 平方完成された式ではありません
               → 肝心の (  )^2 がありません


 では、次のような場合は平方完成されたカタチと呼べるのでしょうか?

 (x + 3)^2  ・・・(イ)

 x^2 + 4   ・・・(ロ)

 (イ)は (  )^2 はあるのですが、定数がありません。しかし問題なのは
定数ではなく、xなのです。xが (  )^2 の中に全て入っていますので、これ
は平方完成されたカタチと呼べます。

 迷うのは(ロ)ですね。これは通常「平方完成した」とは言いません。です
が、xの1次の項がありませんので、(  )^2 の中以外にxはないと見ることが
できます。カッコの中がxだけ、あるいは x + 0 がカッコの中にある、と考え
てもらえればいいのではないかと思います。したがって、これも平方完成した
式の仲間と考えることができます。


 2次関数では、平方完成したカタチの式から、頂点の座標を読み取ることが
できるのですが、(イ)や(ロ)を平方完成した式と見ることができないため
に、頂点の座標が読み取れないということがよくあります。大事なのは、平方
の中にxがすべて入っている、ということです。だからこその「平方<完成>」
という呼び名なのです。

                            (次号へ続く)




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  2.数学学習のコツ(その1)
     「繰り返し解く」

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 数学学習のコツといっても、そんなに目新しいことはないと思います。ただ、
実際にいざやろうとすると中々うまくいかないことも多いものです。そんな時
のヒントになれば、という気持ちで書いていきたいと思います。


 「繰り返し解く」

 よく言われることだと思いますが、ただ闇雲に何度も同じ問題を解いても効
果はありません。では、具体的にはどういった問題をどれくらい解けばいいの
でしょうか?


 残念ながら正解は1つではありません。人によって異なります。まず、一度
問題を解いてみて、スラスラと解けて正解をしている、特別新しい解き方もな
い、というのであれば1回解けば十分です。すると、できなかった問題をもう
一度解こう、ということになるわけですが、一口にできた、できなかったと言
っても、その中身は様々です。また、繰り返し解くべき問題とそうでない問題
を区別する必要もあります。


 さきほどのスラスラ解けて正解した、1回解けばOKな問題には、問題番号
の左側にでも◎をつけておきましょう。解き方が全く分からなかった問題には
?をつけます。解くことはできたけれども間違っていたという場合、どこで間
違えたのかを必ず確認してください。単なる計算ミスであれば、次は正解する
可能性が高いわけですから、○(計算ミスのみ)と書いておいて、時間があっ
たらもう一度やってみる、という程度でいいでしょう。根本的に解き方や考え
方が間違っていたものには×をつけます。途中まで解き方は正しかったのだが、
計算(たとえば2次方程式が解けなかったなど)が出来ていなかった場合は、
「△、2次方程式→×」と書き、2次方程式の計算練習をすればよいのです。


 要するに、できなかった、間違えたといっても、その「程度」や「内容」が
それぞれに違いますから、それを自分でチェックし、その内容に応じて○×△
などの記号をつけていくのです。解いた日付を記入しておくのもいいかと思い
ます。


 ×や?がついた問題は、解答を見て、その解答を真似しながら解いてみます。
この時に、何故その計算をするのか、何故その公式を使うのか、そこで何を求
めようとしているのか、全体の流れはどうなっているのか、などを考えながら
「真似解き」をしてください。そうして自分なりに納得がいくまで考え、納得
がいったら今度は何も見ないで解きます。そこで正解できたら、1〜2日置い
てさらにもう一度解きます。それで解ければとりあえずはOKとしましょう。
途中で分からなくなったら、そこだけこっそり見ましょう(笑)その代わり、
またしばらく時間を置いてから解くようにします。この「しばらく時間を置く」
というところがポイントですね。解答を見た直後では記憶に新しいために、自
分の中にしっかりと吸収されたかどうかが分かりにくいのです。よくある「分
かったつもり」である可能性も高いということです。それをチェックし、定着
を図る意味で1〜2日置いて解くことが必要になります。ちょうど、カレーの
ルーを一晩寝かすと美味しくなるのと同じようなものでしょうか!あれ?ハズ
しました?(笑)逆に時間を置き過ぎるとすっかり忘れてしまう危険性があり
ますので、自分に合った適度な長さの時間を見つけてください。最初は時間が
かかり、面倒くさい気がするでしょうが、慣れてくれば解ける問題が増えてき
て、考え方も身についてきますので、思った以上に短い時間でできるようにな
っていくと思います。


 なお、◎、○、△、×、?などの記号の使い方はあくまでも一例ですので、
自分なりの工夫を加えて、効率よく繰り返し問題を解くことができるようにな
ってください。




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 夏の花の一つに鷺草という花があります。ご存知の方も多いとは思いますが、
白鷺が羽を広げたような不思議な形の花です。今まで写真などでは見たことは
ありましたが、実物をみたことはありませんでした。東京の立川市にある昭和
記念公園で、今日までサギソウまつりが開催されていました。ついに、鷺草の
実物を自分の目で見て、写真も撮って来たのです!そのうちブログにもアップ
したいと思っています。でも、生来が無精者なので、いつになることやら…。
あまり期待しないで待っててくださいね(笑)

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