第0054号 対数の方程式(その2)
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┃ 数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜 ┃
┃ 第0054号 (2007/02/07) ┃
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高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、問題の解き方、考
え方についてちょっとしたヒントを毎週お届けします。
前号で石井裕之氏の本を紹介しましたが、『「心のブレーキ」の外し方』に
書かれていた、潜在意識の「現状維持メカニズム」は思い当たるところが多く、
なるほど〜、と目が覚める思いでした。私はこれまで授業やホームルームなど
で、「人間には習慣性というものがある」という話をしてきました。同じよう
なことを言っているとは思うのですが、「現状維持メカニズム」とその働きの
方がもっと分かりやすく、説得力があるように感じました。さすがセラピスト
です。「餅は餅屋」という言葉がありますが、人間心理の「プロ」ならではの
本だと思います。
⇒ http://mathemaster.com/books0010.htm
続きは編集後記で。
初めて読む方もいるかと思いますので、このメルマガでの記号の書き方につ
いての約束事を2、3書いておくことにします。
☆2乗、3乗などの表し方は、^2、^3とします。
(例)xの2乗 ⇒ x^2
☆添え字は_1、_2といった形で書きます。
(例)数列の初項、第2項などは ⇒ a_1、a_2
対数の底a ⇒ log_a x
──Contents─────────────────────────────
1.対数の方程式(その2)
2.練習問題
3.前回の練習問題の解答
───────────────────────────────────
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1.対数の方程式(その2)
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対数方程式の基本的な解き方の2つ目は、次のようなものです。与えられた
方程式を変形して解いていくタイプの問題の多くは、この考え方を使いますの
で、しっかりマスターしてください。
┌────────────────────────────┐
│ │
│ 解き方2 与えられた方程式を下の形に変形 │
│ │
│ log_a ○ = log_a △ │
│ ↑ ↑ │
│ └────底が等しい │
│ │
│ 左辺、右辺のどちらも底がaの対数で、 │
│ その値が等しいのだから、当然、 │
│ 真数同士も等しい!ということで、 │
│ │
│ log_a ○ = log_a △ │
│ ↓ ↓ 真数を取り出して │
│ ○ = △ │
│ ~~~~~~~~~~~~~ │
│ あとは普通の方程式として解く! │
│ │
└────────────────────────────┘
前回扱った最もシンプルな形の対数の方程式もこの解き方で解けます。方程
式であれば敢えてこの方法で解かなくても良いのですが、この先の変形で使う
考え方もここで説明が出来ますし、シンプルなものでも不等式を解くときには
この「解き方2」が必要になりますので、「敢えて」やってみたいと思います。
では、例題で見てみましょう。
【例題】次の方程式を解いてください。
(1) log_5 x = 2
(2) log_3 (x + 2) = -1
左辺は単独の log の式ですから、問題は右辺です。右辺の、対数で表され
ていない定数を対数の形に変形する必要があるわけですが、ここで一工夫しま
す。使うのは基本公式の1つである
log_a a = 1
です。これは底と真数が同じであれば、その対数の値は1である、というもの
ですが、これを逆に用います。つまり、
1 = log_a a
として、1を対数の形に変形する技として使うのです!1を掛けても値は変わら
ないという性質をうまく利用します。たとえば、(1)の右辺の2であれば、これ
を
2 = 2 × 1
~~~~~
と考えて、1を log_5 5 と変形します。底と真数を5にしたのは、左辺の対数
の底が5だからです。
2 = 2 × 1
= 2log_5 5
このようにすれば、対数で表されていない定数を対数の形に直すことができま
す。では、これを使って例題を解いてみたいと思います。
(1) log_5 x = 2
log_5 x = 2 × 1 ─┐
~~~ │1をlog_5 5に変形
log_5 x = 2log_5 5 ←┘
~~~~~~~
log_5 x = log_5 5^2 ─┐両辺がともに底が5である単独の対数に
│なったので、真数を取り出し、方程式を
x = 5^2 ←─────┘作る
∴ x = 25
~~~~~~~~
(2) log_3 (x + 2) = -1
log_3 (x + 2) = -1 × 1 ───┐1をlog_3 3に変形
~~~ │(左辺の底が3なので
log_3 (x + 2) = -1 × log_3 3 ←┘ 底と真数を3にする)
~~~~~~~
log_3 (x + 2) = log_3 3^(-1) ─┐
│対数から真数の方程式に
x + 2 = 3^(-1) ─┐←─────┘
│ 1
1 │ a^(-n) = ── を使って変形
x + 2 = ── ←─┘ a^n
3
1
x = ── - 2
3
5
∴ x = - ──
3
~~~~~~~~~~~~
何だか面倒くさい変形だなぁ、と感じる人も多いと思いますが、対数で表さ
れていない定数を対数の形に変えるのは、よく使う変形なのでしっかりと理解
して練習をし、マスターしましょう。
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2.練習問題
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【練習問題】次の方程式を解いてください。(解き方2で解いてみましょう)
(1) log_4 x = -2
(2) log_7 (-3x + 1) = 2
解答は次号で。
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3.前回の練習問題の解答
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【練習問題】次の方程式を解いてください。
(1) log_4 x = 3
(2) log_3 (2x + 1) = 2
前回は対数の定義の式を用いた方程式の解き方をやりました。これも大切で
すから、対数の定義をきちんと覚えて、いつでも使えるようにしましょう。
┌────────────────────────────┐
│ │
│ 解き方1 対数の定義「log_a x = b ⇔ x = a^b」を使う │
│ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ │
└────────────────────────────┘
(1) log_4 x = 3
〔解答〕
log_4 x = 3
x = 4^3
∴ x = 64
~~~~~~~~
(2) log_3 (2x + 1) = 2
〔解答〕
log_3 (2x + 1) = 2
2x + 1 = 3^2
2x + 1 = 9
2x = 8
∴ x = 4
~~~~~~~
─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──
しばらく休んでいた囲碁学校に半年ぶりに行ってきました。仕事が忙しくて
行けなかったのですが、それ以上に休むことが「習慣化」されてしまったので
す。そのため無意識のうちに「囲碁学校に行かない」という現状を維持しよう
とする心理状態に陥っていました。潜在意識の「現状維持メカニズム」ですね。
ちょっと頑張れば時間を作ることができたはずなのに、あれこれと言い訳をし
たり、ひどいときには敢えて仕事を作って行かない口実にしたり…。石井裕之
氏の『「心のブレーキ」の外し方』を読んで、そのことに気付くことができ、
「自分の心のブレーキ」を外すことが出来ました。あとはこの気持ちを持ち続
けるようにしなければなりません。そして「囲碁学校に行く」ことが「習慣化」
されれば、今度は休むことが難しくなってくると思います。最初が一番大変で、
初期のモチベーションを維持することが重要です。みなさんも、ぜひ「やる気」
をうまくコントロールして、成功を掴んでください。
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