第0052号 対数の計算(その4)
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┃ 数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜 ┃
┃ 第0052号 (2007/01/31) ┃
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高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、問題の解き方、考
え方についてちょっとしたヒントを毎週お届けします。
性懲りもなく4月の情報処理技術者試験に申し込みをしました(笑)去年と
同じ、テクニカルエンジニアの情報セキュリティです。これから少しずつ勉強
を進めていこうと思っています。日々是精進です!
初めて読む方もいるかと思いますので、このメルマガでの記号の書き方につ
いての約束事を2、3書いておくことにします。
☆2乗、3乗などの表し方は、^2、^3とします。
(例)xの2乗 ⇒ x^2
☆添え字は_1、_2といった形で書きます。
(例)数列の初項、第2項などは ⇒ a_1、a_2
対数の底a ⇒ log_a x
──Contents─────────────────────────────
1.対数の計算(その4)
2.練習問題
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1.対数の計算(その4)
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前号で底の変換公式の紹介と証明を行いました。今回はそれを使っての計算
練習をしようと思いますが、みなさん覚えましたか?もちろん、この公式を完
璧に覚えていなかったとしても、すぐに自分で作れるのであればあまり問題に
はなりません。しかし、それはちょっと無理(涙)、というのであれば覚える
しかありませんよね?
前にも書いたことですが、数学では理解することと覚えること、どちらも大
切です。覚えなければならないことはしっかり覚えるようにしましょう。あれ
もこれも覚えろ、というわけではありません。
「少なく」覚えて、「とことん」使う
です!
この下に、底の変換公式が書かれていますが、それを見る前に覚えているか
どうか、試しに書いてみましょう。
書けましたか?・・・覚えるのを忘れてました?(笑)
覚えるのを忘れていても、覚えたのに忘れてしまっていても、大丈夫です!
今回紹介する方法であらためて覚えてみてください。そのあとは、使いながら
覚えていくようにしましょう。
では、今回の主役の底の変換公式です。
【底の変換公式】
┌──────────────┐
│ log_c b │
│ log_a b = ───── │
│ log_c a │
└──────────────┘
覚え方としては、まず形を頭に入れましょう。底を変える公式ですから、底
はaではなく、別の数です。それを公式ではcとしているだけです。次に大事な
のは、「分数」になっているということです。
だから、まず形として
log_c ○
log_a b ⇒ ─────
log_c △
と変形するのだ、ということを頭に入れます。その上で、○と△に入るものを
覚えるのです。
ここでもう1つ気をつけなければいけないのが、第0046号で書いた、
log_c ○ ○
───── と log_c ── は等しくない!
log_c △ △
ということです。この底の変換公式を学習したときに、魔が差したように
log_c ○
─────
log_c △
を
○
log_c ──
△
と変形してしまう人が出てきます。(実は私自身高校生のときにやってしまい
ました。。。涙)
さて、肝心の○と△のどちらにaどちらにbが入るかということですが、これ
はちょっとしたイメージを利用します。メルマガでの書き方では分かりません
が、対数を紙に書くときには通常底であるaを小さく書き、真数のbを普通の大
きさに書きます。これを利用して、
小さくなっているa、大きい態度のb
と見てやります。で、上にいるヤツ(○)は大きい態度で、下っぱ(△)は小
さくなっている、と覚えよう!と生徒には言ってます。教育的に問題あり!と
言われると困ってしまいますが(笑)、けっこうこれで覚えてくれます。特に
運動部の生徒はこれですぐに覚えちゃいます(笑)
もちろん、底と真数に上下関係はありませんから、公式を覚えるときだけの
方便ですよ!
【例題】次の対数の計算をしてください。
(1) log_4 18 - log_2 6
(2) log_5 27・log_3 25
(1)に関しては、対数の基本公式が使えるぞ!と早とちりしてしまうと、間
違えてしまいます。2つの対数の底が等しくありませんから、そのまま単純に
合体をさせることはできませんね。
(2)に関しては、底の変換公式の練習問題で、よく見かける問題です。これ
も真数同士を掛けてしまうという間違えをする人がよくいますので、気をつけ
てください。
いずれの問題もまずは、底が等しくないので揃えることにします。ここで問
題です!底を揃えるというのは、底を同じ数にするということなのですが、で
は底をいくつにしたら良いのでしょうか?ここのところは、教科書や参考書に
はあまり書いてくれていないと思います。基本的には底を等しくすればどんな
値でも計算ができるのですが、計算の最後でもう一度底の変換をしなければな
らなくなるときもありますので、なるべく効率よく計算をしたいところです。
と、いうことで
なるべく小さい素数
を底として選ぶのがいいでしょう。そして、複数ある底が共通の素数を持って
いるならば、その素数を選ぶ方が後々の計算がラクになります。
では、実際の問題で見てみましょう。
【解答】
(1) log_4 18 - log_2 6
この計算では、底は4と2です。4は2^2と書くことができますので、どちらも
2という共通の素数を持っています。そこで、この2に統一することを考えます。
ちなみに、高校の数学で問題として出されるときは、この問題のように、底が
ある共通の素数の累乗となっているものがほとんどです。なぜなら、そうしな
いと最終的にきれいにまとまらないからです。ただ、学校の数学を離れて考え
た場合には、いろいろなケースが考えられますから、これが全てだとは思わな
いでください。
話が逸れましたので計算に戻ります(^^)最初の項の log_4 18 の底を底の
変換公式を使って、2に変えます。そのあとは、基本的には今までの計算と同
じですが、この(1)では係数に分数が出てきますので、そこの対処の仕方だけ
少し今までと違います。
〔解答1〕方針(A)「合体」
log_4 18 - log_2 6
log_2 18
= ──── - log_2 6
log_2 4
log_2 18
= ───── - log_2 6
log_2 2^2
log_2 18
= ──── - log_2 6
2
1
= ──log_2 18 - log_2 6 ─┐今まではlogの係数は真数の指数に
2 │していましたが、そうすると計算が
│やや面倒になるので、ここでは1/2で
1 │くくることにしました。この方が、
= ──(log_2 18 - 2log_2 6) ←┘少し計算がラクです。
2
1
= ──(log_2 18 - log_2 6^2)
2
1
= ──{log_2 (2 × 3^2) - log_2 (2 × 3)^2}
2
1
= ──{log_2 (2 × 3^2) - log_2 (2^2 × 3^2)}
2
1 2 × 3^2
= ──(log_2 ──────)
2 2^2 × 3^2
1 1
= ── log_2 ──
2 2
1
= - ──
2
~~~~~~~
〔解答2〕方針(B)「分解」
log_4 18 - log_2 6
log_2 18
= ──── - log_2 6
log_2 4
log_2 18
= ───── - log_2 6
log_2 2^2
log_2 18
= ──── - log_2 6
2
1
= ──log_2 18 - log_2 6 ←ここまでは「合体」と同じ
2
1
= ──log_2 (2 × 3^2) - log_2 (2 × 3)
2
1
= ──(log_2 2 + log_2 3^2) - (log_2 2 + log_2 3)
2
1
= ──(1 + 2log_2 3) - (1 + log_2 3)
2
1
= ── + log_2 3 - 1 - log_2 3
2
1
= - ──
2
~~~~~~~
(2) log_5 27・log_3 25
この計算では、底が5と3で共通の素因数がありませんし、どちらも素数の累
乗でもありません。したがってどちらでも構いませんので、片方に統一して計
算します。ここでは底を3に統一して計算してみたいと思います。
log_5 27・log_3 25
log_3 27
= ──── ・ log_3 25
log_3 5
log_3 3^3
= ───── ・ log_3 5^2
log_3 5
3
= ──── ・ 2log_3 5 ←┬約分!
log_3 5 ←──────┘
= 6
~~~
さて、いかがでしょうか?底の変換は入試問題などでもけっこう使われます
ので、底のチェックと底の変換公式の使い方をしっかりとマスターしてくださ
い。下に練習問題を載せておきますので、いつものように次回までにやってみ
てください。
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2.練習問題
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【練習問題】次の対数の計算をしてください。
(1) log_3 18 - log_9 12
(2) log_8 5 ・ log_49 16 ・ log_5 7
(2)は例題よりもやや複雑になっていますが、同じ考え方でできます。そし
て、底をどう選ぶかについても考えてみてください。解答は次号で。
─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──
ここ何回か対数の計算を扱っていますが、次回からは方程式や不等式の話に
入っていきたいと思います。そこでもやはり底の変換公式を含め、今までやっ
てきた公式が登場しますので、しっかりと頭に入れておいてください。
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