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第0042号 円の接線の方程式の覚え方


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┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0042号 (2006/08/04)             ┃
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 面白そうだな〜、と思いつつも手を出さなかった「数独」。ついに始めてし
まいました。やっぱり面白いです!でも、電車の中では『ゲド戦記3さいはて
の島へ』を読んでいますので、なかなかやる時間がありません。家や学校で、
ちょっとした空き時間などにやったりしています。もちろん、勤務時間中には
しませんよ!(笑)


 初めて読む方もいるかと思いますので、このメルマガでの記号の書き方につ
いての約束事を2、3書いておくことにします。


 ☆2乗、3乗などの表し方は、^2、^3とします。
 (例)xの2乗 ⇒ x^2

 ☆添え字は_1、_2といった形で書きます。
 (例)数列の初項、第2項などは ⇒ a_1、a_2



──Contents─────────────────────────────

 1.円の接線の方程式の覚え方
 2.高校時代の私

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  1.円の接線の方程式の覚え方

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 前回、中心が原点にない場合の円の接線の方程式を、基になる「円の接線の
方程式」と「平行移動」を組み合わせて導きました。今回は、それらの覚え方
について簡単に説明したいと思います。


 まず、基本となる「中心が原点にある円の接線の方程式」からいきます。公
式は、前回載せたものを再掲します。

 ┌─円の接線の方程式の公式(その1)────────────┐
 │                             │
 │ 円 x^2 + y^2 = r^2 上の点(a, b)における接線の方程式は │
 │                             │
 │   ax + by = r^2                    │
 │                             │
 │ である。                        │
 │                             │
 └─────────────────────────────┘


 最初に断っておきますが、これから書くことはあくまでも「覚え方」です。
公式という「結果」を見て、どのような形になっているのか、その特徴を見つ
け、それをうまく利用して覚えようということです。ですから、なぜそうして
いいのか?という疑問は無意味だと思ってください。


 なぜこんなことを書いているかというと、授業で「覚え方」を教えると、必
ずといっていいほど、「え?どうしてそれでいいの?」という疑問を投げかけ
る生徒がいるからです。「なぜ?」という疑問を持つことはとても良いことで
す。しかし、結果を見てその特徴をつかんで覚えようとする、ということと、
なぜそれが成り立つのか確かめる、ということの区別ができていないと、十分
な理解はなかなか得られません。ですから、その辺りをよく見極めるようにし
てください。


 すみません、前置きが長くなってしまいました。では、行きます!(笑)
x^2、y^2はそれぞれxを2つ、yを2つ掛けたものですから、それを次のように
書き直します。

  x^2 + y^2 =r^2
    ↓
   xx + yy =r^2

次に、2つずつ書いたxとyの片方に、それぞれ接点のx座標、y座標を代入しま
す。すなわち、

  x x + y y =r^2
  ↑  ↑
  a   b

というふうにして、

  ax + by = r^2

という公式の出来上がり!というわけです。あまりにでき過ぎていて、「え?
これでいいの?」という疑問が起きてしまうのも、分からないではありません。


 では、もう1つの公式はどうでしょうか?これも実は同じなのです。

 ┌─円の接線の方程式の公式(その2)────────────┐
 │                             │
 │ 円 (x-p)^2 + (y-q)^2 = r^2 上の点(a, b)における接線の │
 │ 方程式は                        │
 │                             │
 │   (a-p)(x-p) + (b-q)(y-q) = r^2            │
 │                             │
 │ である。                        │
 │                             │
 └─────────────────────────────┘

2乗になっているところを、同じものを2回書くようにして、

    (x-p)^2 + (y-q)^2 = r^2
        ↓
  (x-p)(x-p) + (y-q)(y-q) = r^2

とします。そして、x、yの片方にだけ接点のx座標とy座標を代入すると、

  (a-p)(x-p) + (b-q)(y-q) = r^2

はい、出来上がりです!


 x^2→xx、y^2→yy というイメージを頭の中で作り上げておけば、実際の問
題で使うときにも、公式を書いてから数値を当てはめるのではなく、公式の覚
え方そのものを使って、式を作ることができます。それが、この公式の覚え方
の強みでもあります。今まで、この公式がなかなか覚えられなかった人は、ぜ
ひ試してみてください。




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  2.高校時代の私

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 自分のことを語るのは気恥ずかしいのですが、高校時代の数学の勉強にまつ
わる思い出話をちょっと書こうと思います。


 高校時代に習った数学の先生の中で、好きだった先生は一人だけでした。そ
の先生は、生徒が分かりにくそうだという所を丁寧に説明してくれました。分
かりやすく、数学の授業が楽しいと思えました。しかし、それ以外の先生は、

 ・黒板に書く字が小さい
 ・声が聞こえにくい
 ・板書も説明も教科書とまったく同じ

というような感じで、とても授業を聞く気にはなれませんでした。特に、板書
されたのをノートに写していたら、それが教科書に書いてあるのとまったく同
じであることに気づいたときには、ものすごいショックでした(笑)説明も、
教書と同じことを繰り返して言っているだけです。


 それは今でも覚えていますが、ベクトルの授業でした。教科書を読んで、問
題を解こうとしたときに、よく分からなかったのでノートを見たのです。(記
憶に間違いがなければ…)そうしたら、上に書いたとおりだったのです。思わ
ず叫んじゃいましたね。

「意味ねぇーじゃん!」

 それっきりその授業は聞きませんでした。聞いても無駄だと判断したからで
す。ノートも取りませんでした。すべて教科書に書いてあるからです。今から
考えると愚かだなぁと思うのですが、その時は許せなかったんですね(笑)で
も、授業を聞かず、ノートも取らず、それでテストで悪い点を取って文句を言
われるのは絶対にイヤだったので、自分なりに勉強しました。試験前は特に頑
張って勉強しました。そのおかげか、テストでは満点近い点数を取っていまし
た。はっきり言ってイヤな生徒ですよね(笑)


 でも、問題は解けても「理解」はしていませんでした。そのときに、現在の
私の根幹となる考えがある程度できたのだと思います。また、自分で考え、問
題を解いていったという経験が大きく役立ったようにも思います。その意味で
は、高校時代の先生に感謝しなければならないかもしれません。反面教師とし
て、ですけどね(笑)


 あ、誤解のないように言っておきますが、授業を受けないことを薦めている
わけではありませんからね!多くの場合は、授業をちゃんと聞き、自分でも問
題を解き、その上で分からないところを先生に質問する、という「王道」を取
った方が遥かに効率的ですから!


 振り返ってみると、中学・高校と好きだった先生と嫌いだった先生とに対す
る態度が、両極端であったように思います。今頃になって反省、です(苦笑)




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 私は多くの人たちのおかげで、現在こうして数学を教えることができていま
す。これは明らかに私一人の力ではありません。若いときにはそんな風に考え
たことはありませんでした。これも、少しは成長した証なのですかね?(笑)
『ゲド戦記』もそういった長い年月での成長があって面白いですね。

─…───…───…───…───…───…───…───…───…─

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