第0025号 等差数列の一般項
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┃ 数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜 ┃
┃ 第0025号 (2006/05/01) ┃
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先週の金曜日は、メルマガの発行をお休みしてしまいまして、すみませんで
した。仕事が忙しくて、どうにもクビが回らなくなってしまったのです(T_T)
そして大変申し上げにくいのですが、この連休中もメルマガをお休みさせて
いただきます。たっぷり充電をして、またメルマガの作成に取り掛かりたいと
思っています!
──Contents─────────────────────────────
1.等差数列の一般項
2.文字式を見るときの気持ち(その1)
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1.等差数列の一般項
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等差数列の和の公式を第23号で導いたときに、初項a、公差dの等差数列の第
n項は、a+(n-1)d で表される、と何気なく書いてしまいました。ですが、この
公式についても、きちんと理解していないために、応用がきかないというケー
スが多く見られます。そこで、今回は等差数列の一般項の求め方について書き
たいと思います。
まず「一般項」とは何か?といことですが、数列では、「前から数えて何番
目か?ということをはっきり示すために添え字を使う」と、第24号で書きまし
た。数列は、ある一定のルールに従って、数が並んでいるものです。ランダム
に数が並んでいるものも数列と言えば言えますが、そういったものは数学では
扱いません。数列のルールの表し方は2通りあります。
1.前の項にどういう操作をすると、その次の項が求まるか?
(例)3, 5, 7, 9, …
ある項に2を足すと、その次の項が求まる
第4項が9であるから、その次の第5項は9+2で11である
2.前から数えて何番目かという番号からどうやってその項を求めるか?
(例)1, 4, 9, 16, 25, 36, 49, …
前から数えて何番目かという番号を2乗するとその項が求められる
第7項は7^2で49である
この、前から数えて何番目かという番号nを用いて、その項(第n項)の値を
nで表した式を、一般項と呼びます。文字はnに限ったものではありませんが、
よく使うのはnです。上の2の例で言えば、第n項がn^2という式で表されます
ので、これが一般項です。
さて、等差数列の一般項ですが、具体的な例で考えてみましょう。次のよう
な数列があるとします。
4, 7, 10, 13, 16, 19, …, a_n, …
└┘└┘└┘└┘└┘ … └┘
+3 +3 +3 +3 +3 … +3
初項4、公差3の等差数列です。第2項は初項に3を加えれば求まります。また、
第3項は第2項に3を加えれば求まります。このように次々に3を加えていくこと
で、項を求めていくことができるのです。そこで、今の事柄から、上の数列を
次のように書き換えてみます。
初項 a_1 = 4
第2項 a_2 = a_1 + 3 = 4+3
第3項 a_3 = a_2 + 3 = 4+3+3
第4項 a_4 = a_3 + 3 = 4+3+3+3
第5項 a_5 = a_4 + 3 = 4+3+3+3+3
…
同じ数を足しているところは、掛け算を使って書き直すことができますから、
さらに上の式を書き直すと、次のようになります。
初項 a_1 = 4
第2項 a_2 = 4 + 3
第3項 a_3 = 4 + 3×2
第4項 a_4 = 4 + 3×3
第5項 a_5 = 4 + 3×4
…
初項と第2項も、第3項以下と同じような形で書こうとすると、次のように書く
ことができることが分かると思います。すなわち、初項は4に3を足していない
のだから、 ~~~~~~~~~~~~
a_1 = 4 + 3×0
第2項は、初項4に3を1個足しているのだから、
a_2 = 4 + 3×1
となります。くどいようですが、これを加えて上の式をもう一度書き直します。
初項 a_1 = 4 + 3×0
第2項 a_2 = 4 + 3×1
第3項 a_3 = 4 + 3×2
第4項 a_4 = 4 + 3×3
第5項 a_5 = 4 + 3×4
…
これで全ての形が整いました。数列に限らず、数学では共通のパターンを見つ
けるということはとても大事なことです。さあ、ここで共通となっている部分
はどこでしょうか?そうですね。どの項も 4+3×○ という形の式になってい
ます。そして、○の中に入っている数は、第何項という番号よりも1小さい数
です。このことに気づけば、第n項は次のような式になりそうだという予想が
立てられます。
a_n = 4 + 3×(n-1)
上に書き連ねたパターンから考えると、この式で正しそうなのですが、では、
この n-1 にはどのような意味があるのでしょうか?あるいは、こう言っても
いいかもしれません。なぜ n ではなく n-1 なんだ?と。
そこで、最初の横に並べた数列に戻って考えてみます。
4, 7, 10, 13, 16, 19, …, a_n, …
└┘└┘└┘└┘└┘ … └┘ …
+3 +3 +3 +3 +3 … +3 …
初項は先頭の数ですから、公差を足したりはしません。そのままです。第2項
を求めるときに、初めて初項に3を1つ足します。あとは公差を常に1つずつ
加えていきますので、結局どの項を求めるにも、「初項」の分を除いた個数
分だけ公差を足すことになります。つまり、第n項を求めるには、初項に公差
を n-1 個足していけばいいのです。これで先ほどの式の n-1 が根拠のある
ものだと分かりました。他にも色々な角度から特徴をつかんでみてください。
以上のことから、初項a、公差dの等差数列の一般項は、
a_n = a + (n-1)d
となります。
ここで押さえておいてほしいことは、この公式もさることながら、第n項を
求めるのに、初項に公差を n-1 個足せば求められるということです。
~~~
初項から第n項までの間が n-1 個であるという、このアイデアは他の場面で
も使いますので、ぜひ覚えておいてください。
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2.文字式を見るときの気持ち(その1)
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文字式を本格的に学ぶのは、中学の数学からですが、文字の使い方というか、
文字式を見るときの気持ちについては、あまり教えられていないように思いま
す。と言っても、気持ちの部分なので、なかなかに伝えにくいものではあるの
ですが…。
たとえば、y=ax+b という式があったとします。この式を見て、1次関数の
式だと思った人は多いのではないかと思います。では、どうしてこれを1次関
数の式だと判断したのでしょうか?もちろん、そのように教わったからだ、と
いうのも理由の1つでしょう。すなわち、y=ax+b ときたら1次関数と機械的
に覚えてしまっている、と。ここで、もう一度この式を眺めてみてください。
この式に使われている文字は何でしょうか?そうですね。y、a、x、bの4つで
す。さて、これらの文字はすべて対等でしょうか?すなわち、その役割は全て
同じなのでしょうか?
この問いに対する答えとして、「No」だと考えた人が多いのではないかと思
います。ですが、実は「対等のときもあるし、そうでないときもある。そのと
きそのときで変わる」というのが正解です。
え?だってこれは1次関数の式なんだから、xやyとa、bとでは役割が違うで
しょ?そのような声が聞こえてきます。ですが、私は「y=ax+b という式があ
ったとします」としか書いていません。これが1次関数の式だとは一言も言っ
ていないのです。引っ掛けのつもりではありません。ただ、文字を連ねて書い
た時には、x、yとa、bの間に違いはないのです。それを「1次関数の式」だと
見た瞬間から、違いが生じるのです。つまり、y=ax+b という式をどう見るか
で意味が変わってくるのです。
もっと端的な例を挙げますと、中学1年生で文字式を習ったばかりの生徒に
y=ax+b という式を見せたとき、その生徒はx、yとa、bの間に違いを見出すで
しょうか?1次関数の式を習っていなければ、全ての文字を対等のものとして
見ているはずです。私たちがそこに文字による違いを見るのは、文字式の方に
違いがあるのではなく、私たちの頭の中で違いを作っているのです。
ですから、同じ式を見たとしても、人によって受け取り方が違い、その見方
の違いによって、計算や式を見たときに分かったり分からなかったりが起きて
くることもあるのです。
─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──
小川洋子さんの『博士の愛した数式』を読み始めました、と第24号の編集後
記で書きましたが、その翌日には読み終わってしまいました(^^)読後の感動
はうまく言葉で表現できません。心が打ち震えるというような激しい感動では
ありません。ですが、心が何かで満たされるような、静かな感動でした。ん〜、
やっぱり言葉では伝えられないですね…。人によって感じ方も違うでしょうし
ね(^^)もし興味を持たれたら、読んでみてください、としか言えないですね。
今度機会があったら映画も観てみようと思っています。
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