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第0024号 等差数列の和の公式(その2)


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┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0024号 (2006/04/26)             ┃
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 今日の授業で、連休明けまでの宿題を高3の生徒たちに課しました。そうし
ましたら、今日の放課後に学校でやり、早くも持ってきた生徒がいました。そ
こそこの量があったので、ビックリしましたね。この生徒は、今までも課した
宿題は必ずやっていました。しかもその日にすぐ取り組むのです。普段の授業
でもよく話を聞いています。授業でやったことは、記憶の新しいうちに解くと
いいよ、と言ったことを実行しています。元々すごくできた生徒ではありませ
ん。むしろ勉強の割に伸びず、悩んでいたところのある生徒です。それがここ
にきて、伸びてきていますね!「センスはあとから身につく」のお手本のよう
な気がします。このまま、どんどん伸びていって欲しいと思います(^^)



──Contents─────────────────────────────

 1.等差数列の和の公式(その2)
 2.Σの計算練習

───────────────────────────────────


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  1.等差数列の和の公式(その2)

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 前号で等差数列の和の公式を導きましたが、このメルマガの読者のTさんか
ら、この数列の覚え方についてご質問のメールを頂きました。今日は、それに
ついてのお話をしたいと思います。


 等差数列の和の公式は、

  「初項と末項を足して項数を掛けて2で割る」

というものでした。初項をa、末項をb、項数をnとすると、

    n(a+b)
  S=────
     2

と書けます。この式では、「2分の〜」という形で1つの分数にしていますが、
これを係数として前に出して、次のように書くこともできます。

    1
  S=──n(a+b)
    2


 ちなみに、Sは「合計」を意味する英語の「sum」の頭文字です。この等差数
列の和の公式の覚え方について、次のようなご質問を頂きました。


−−−−−ここから引用ーーーーーーー−−−−−−−−−−−−−−−−−

  さて、今回の等差数列の和の公式ですが、
  台形の面積の公式で、イメージ的にとらえるほうが忘れにくいと思い
  ますが、どうでしょうか?

    ____n______    1
   a|     |  S=-n(a+L)
    |     |   2
    \    |
      \   |L
       \  |
        \ |
         \|

−−−−−ここまで引用ーーーーーーー−−−−−−−−−−−−−−−−−


 はい、その通りです!素晴らしいです(^^)数学の理解の仕方は、数式で理
解するのが得意な人、図形的に理解するのが得意な人、言葉などで理解するの
が得意な人、…など、人によってさまざまです。最近は、テキストベースのメ
ルマガということもあって、数式での理解に偏っていたようにも思います。台
形の面積との関連について触れなかったのは、分量がかなり多くなってしまっ
ていたため、避けてしまったのもあります。図が書きづらかったのもあります
(笑)


 その意味でも、このご質問(ご指摘)は、見事にツボにはまったという感じ
がします。奇しくも、合計のSと面積のSが同じということもあって、うまい具
合にイメージが重ってくれますね!


 ところで、この台形の面積の公式ですが、やはり等差数列の和の公式の説明
と同じような形で、説明することができます。つまり、この台形を裏返して、
つなげるると、長方形になります。(一般的には平行四辺形です)


    ____n______    1
   a|     |  S=-n(a+L)
    |     |   2
    \    |
    │ \   |L
    │  \  |
    │   \ |
   L│    \|
    │     │
    │     │a
     ̄ ̄n ̄ ̄ ̄


 縦がa+L、横がnの長方形ですから、その面積はn(a+L)です。この面積は、台
形2つ分の面積ですから、求める1つ分の台形の面積は、2で割って半分にす
ればよいわけです。ということで、

    1
  S=─-n(a+L)
    2

という台形の面積の公式が成り立つわけです。ひっくり返して足す、というト
コロが同じで、式も同じ。不思議な関係ですよね。。。


 ここに見たように、上底→初項、下底→末項、高さ→項数と対応させて覚え
れば、覚えやすく忘れにくいでしょう。視覚的なイメージを利用する、という
パターンですね。図形的に考えるのが得意な人は、ぜひこのやり方を試してみ
てください。


 最後にあらためて、Tさんにお礼を言いたいと思います。ありがとうござい
ました!これからも宜しくお願いいたします。


 このメルマガを一方通行のものにはしたくないと思っています。メルマガの
内容に関してはもちろんのこと、それ以外の内容であっても、疑問に思う点、
知りたい点などがありましたら、どんどんメールを頂ければ、と思います。あ
まりムズカシイ内容だと答えられないことがあるかもしれませんので、そのと
きはお許し下さい(笑)


 単なる感想だけでも大歓迎です。ちっとも分からなかったぞ、というお叱り
のメールでも構いません。これを読んでくださっている方々の感想が励みにも
なりますし、また私自身の勉強にもなります。そして何より、メルマガを通じ
て人とつながっているのだという実感が持てることが、何よりの喜びでもあり
ます。つたない文章で、分かりづらい所も多々あるかと思いますが、今後とも
宜しくお願いいたします。




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  2.Σの計算練習

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 Σの計算練習に入る前に、Σの性質について、簡単に触れておきます。まず
は、記号の取り決めをしておきたいと思います。数列では、前から数えて何番
目の数か、ということをはっきりと示すために、文字の右下に小さく数字を書
きます。これを添え字と言いますが、この添え字をテキスト版のメルマガでは
表すことができませんので、次のように書くことにします。

  第n項(前から数えてn番目の項)⇒ a_n , b_n などと書くことにします


【Σの性質】
   n        n   n
 (1) Σ(a_k + b_k) = Σa_k +Σb_k
   k=1       k=1  k=1

   n     n
 (2) Σc a_k = cΣa_k
   k=1    k=1


 (1)が言いたいのは、Σは足し算なわけですから、数列{a_n + b_n}の和は、
先に数列{a_n}の方を足して、次に数列{b_n}の方を足して、後から足してもイ
イよね?ということなのです。


 (2)もΣが足し算であることを考えると、すべての項にcを掛けたものを足す
わけだから、共通因数としてcでくくれるよね?ということです。だから、先
に数列{a_n}の和を求めておいて、後からc倍してもOK!ということです。


 以上から、次のように考えればよいことが分かります。

  ☆足し算、引き算でつながっているものは、別々のΣの式に分解できる

  ☆文字に係数が掛かっていたら、Σの外に出して後から掛ければよい

 すなわち、

  n
  Σ(4k^2+3k-2)
  k=1

という式があったら、

  n        n    n   n
  Σ(4k^2+3k-2) = Σ4k^2 +Σ3k -Σ2
  k=1       k=1   k=1  k=1

           n    n  n
         = 4Σk^2 +3Σk -Σ2
           k=1   k=1 k=1

というように、変形できるわけです。あとはΣの公式に当てはめて計算すれば
いいわけです。今回は、Σの上が数であるものについての計算練習をしてみて
ください。


問 次のΣの計算をしてください。

   20
 (1) Σ(k+4)
   k=1

   15
 (2) Σ(k^2-3k)
   k=1

   10
 (3) Σ(k+3)(2k-1)
   k=1

   20
 (4) Σk(k+1)(k+2)
   k=1

※(3)(4)のように、展開されていない式がある場合には、完全に展開をしてか
 らΣの計算をすることになります。


 答えは、このメールの一番下、ではなくて(笑)、ブログの方に載せておき
ます。やっぱりテキスト版(HTML版でもあまり変わりませんが…)では、式が
見づらいので、そのせいで分かりづらくなってはいけないと思ったからです。
手間をお掛けして申し訳ありませんが、計算の過程を確認されたい方は、ブロ
グの記事をご覧ください。結果の数値のみ、メールの一番下に載せておきます。

 ⇒ http://smi-teacher.seesaa.net/article/17073487.html




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 小川洋子さんの『博士の愛した数式』を読み始めました。まだ全体の1/3く
らいしか読んでいませんが、だいぶのめり込んでいます(^^)読み終えたら、
ネタバレしない程度に、感想を書きたいと思います。

─…───…───…───…───…───…───…───…───…─

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【Σの計算練習の結果】
 (1) 290
 (2) 880
 (3) 1015
 (4) 53130

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