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第0018号 tanの公式


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┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0018号 (2006/04/12)             ┃
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 今日は新入生に対して、クラブ活動を紹介するイベントがありました。私が
顧問をしているコンピュータ部には何人希望者が来てくれるでしょうか…。



──Contents─────────────────────────────

 1.tanの公式
 2.三角関数の定義で半径をrにするメリット

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  1.tanの公式

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 前号で取り上げました三角関数の基本公式を組み合わせると、tanの公式が
導けます。基本公式2つを再度掲載しておきます。


【基本公式】

 (1) sin^2 θ+ cos^2 θ=1

 (2)     sinθ
   tanθ=───
       cosθ


【教科書流tanの公式の導き方】

 (1)の式の両辺をcos^2 θで割ると、

   sin^2 θ      1
  ───── + 1 = ────
   cos^2 θ    cos^2 θ

    sin θ        1
  ( ──── )^2 + 1 = ────
    cos θ      cos^2 θ

これに(2)の公式を代入すると、

            1
  tan^2 θ + 1 = ────
          cos^2 θ

となります。左辺のtan^2 θ と 1 の順番を入れ替えると、

            1
  1 + tan^2 θ = ──── …(イ)
          cos^2 θ

という公式の出来上がりです。


 しかし、tanの公式は(イ)のタイプと、

      1      1
  1 + ──── = ──── …(ロ)
    tan^2 θ  sin^2 θ

というタイプの2つがあって、これまた覚えづらいんですよね。(イ)は両辺
をcos^2 θで割って計算していくので、それほど不自然ではないのですが、
(ロ)は両辺をsin^2 θで割ってさらにtanθの逆数を考えて、という風にや
や無理があります。つまり、自分で一から作るのは難しいのです。そこで、こ
れに関しては、次のように左辺だけ覚えておきましょう。


  1 + tan^2 θ =


      1
  1 + ──── =
    tan^2 θ


 その上で、(2)の式を代入して計算すると、(イ)と(ロ)の式を導くこと
ができます。分数の中の分数の処理など、前号で書いた事柄も出てきますが、
それほどムズカシイ計算ではありませんので、チャレンジしてみてください。
これについては、答えは載せませんので、自力で頑張りましょう(^^)


 tanの公式は、入試などでも「忘れた頃にやってくる」というような感じで、
頻出とは言いがたいところがあります。それゆえに、忘れられやすいんです。
ですから、完璧に覚えようとするのではなく、ナンかtanの公式ってあったよ
な〜、その公式の出だしは 1 + tan^2 θ とかだったよな〜〜、というように
アバウトに覚えておいて、あとは自分で作る!そんな感じでいいと思います。


 上の式で左辺を計算して右辺を導くのを2〜3回やってみれば、自分で導く
のは大して苦痛ではなくなると思います。「覚えることは少なく、覚えたこと
はとことん使う」の精神です(笑)




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  2.三角関数の定義で半径をrにするメリット

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 三角関数を定義する際、半径を1にする方が、単位円周上の点のx座標、y座
標がそのまま、

  x=cosθ
  y=sinθ

となるので、証明その他で扱いやすくなります。ただ、三角関数の値を求めた
り、三角関数を含む方程式などを解いたりするときには、半径をrにした方が
便利なことが多いのです。


 半径をrにしているということは、言い換えれば、半径は自分で自由に決め
て構わないということです。だから、必要に応じてr=1として、単位円にして
考えることもできるわけです。


 たとえば、sin60°の値を考えようとするときは、斜辺の長さが2、底辺1、
高さ√3の直角三角形を考えればよいわけですが、このときには半径rを斜辺の
2にして考えます。そうすると、sinの定義は、

      y
  sinθ=──
      r

ですから、r=2、y=√3 を当てはめて、

     √3
  sinθ=──
      2

というように求めることができます。言葉だけでは、やや分かりづらいと思い
ますが、半径を自分で都合のよいように決められるというのは、けっこう便利
なところが多いです。方程式であれば、次のような感じで考えることができま
す。


 0°≦θ<360°の範囲で次の方程式を満たすθを求めてみます。

     √3
  cosθ=──
      2


 cosθの定義は、

      x
  cosθ=──
      r

ですから、上の方程式と見比べて、r=2、x=√3 とします。原点を中心とした
半径2の円を描き、x座標が√3である点を円周上に取ります。これは、x軸を挟
んで上と下の点の2つが考えられます。そして、その点からx軸に垂線をおろ
すと、斜辺が2、底辺が√3の直角三角形ができますから、θの範囲に注意して
その値を求めると、

  θ=30°、330°

の2つが求められるわけです。自分で実際に図を描いてみると、半径を自由に
決められるということが、大きなメリットとして感じられると思います。
(スミマセン、図は近いうちにまたブログの方へ掲載いたします)


 慣れないとややムズカシイ感じがするかもしれませんが、円を描いて考える
練習として、ぜひやってみてください。




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 今日は3年生対象のオリエンテーションで、進路についての話をしました。
いろいろな話をしましたが、「プラスのイメージを強く持って、前向きに頑張
って欲しい、どうせ自分はダメなんだと自分で自分に限界を作らないように!」
ということを強調しました。ポジティブシンキングは大事ですよね!

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