<< 前の記事へ      目次へ戻る      次の記事へ >>

第0014号 因数分解(その3)


☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0014号 (2006/04/03)             ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

 高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、見方、考え方につ
いて、ちょっとしたヒントをお届けしています。今週から、月・水・金の配信
にチャレンジしてみようと思っています。やや無謀かなとも思いますが(笑)、
その理由については編集後記に書きました。


 合言葉は、

  ☆少なく覚えて、とことん使う!
  ☆センスは身につくもの!

です!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  たすきがけによる因数分解(その2)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 前号で「たすきがけ」による因数分解の方法の説明と、例題を1つ説明しま
した。今回は、別の例題をやってみることにしましょう。


(例題2) 3x^2-8x+4 を因数分解してください。
    │   └─────────────┐
    └──┐              │
       ↓              ↓
 まず、掛けて3になるのは、1と3ですね。掛けて4になるのは、1と4か2と2で
す。では、これらを「たすきがけ」してみましょう。


 前号でお話した「見通し」を使って、トライの数を減らしてやっていきます。

  1  4
   ×
  3  1

この組み合せは、3×4=12なので、却下。この辺の事情は、第13号をお読みく
ださい。


【トライ1】
   1   1 →3  ─┐
    \ /      │
     ×       │
    / \      │足す
   3   4 →4  ─┤
  ───────── │
         7  ←┘
         ~~~ xの係数の-8と違うので、【失敗!】


【トライ2】
   1   2 →6  ─┐
    \ /      │
     ×       │
    / \      │足す
   3   2 →2  ─┤
  ───────── │
         8  ←┘
         ~~~ xの係数の-8と違うので、【失敗!】


 ん?ちょっと待ってください!【トライ2】は確かに-8とはなっていません
が、違うのは符号だけです。このように、符号だけが違う場合には、右側の組
の2つの数両方の符号を変えてください。両方とも符号を変えれば、掛け合わ
せたた結果は変わりませんから大丈夫です。つまり

  2×2=4
   ↓
  (-2)×(-2)=4

です。マイナス×マイナスがプラスになる話は、前号の2で書きましたよね?
こんなトコにも出てきました(笑)


【トライ3】
   1   -2 →-6 ─┐
    \ /      │
     ×       │
    / \      │足す
   3   -2 →-2 ─┤
  ───────── │
         -8 ←┘
         ~~~ xの係数の-8と一致したので、【成功!】


 以上より

  3x^2-8x+4=(x-2)(3x-2)
        ~~~~~~~~~~~
と因数分解できました。


 ここで使った、符号だけが違う場合には、全部の符号を逆にして調整する、
という技は覚えておいてください。ただ、例題1・2のようなパターンでは、慣
れてきたら、

  定数の項がプラスのときには、同符号
  xの係数がプラス →プラスとプラス
       マイナス→マイナスとマイナス

と考えれば早いと思います。これも丸暗記ではなく、なぜこうやって良いのか
をきちんと理解するようにしてください。その上で覚えるようにしてください。
「理解して、覚える」です。


(例題3) 2x^2-5x-3 を因数分解してください。
    │   └──────────────┐
    └──┐               │
       ↓               ↓
 まず、掛けて2になるのは、1と2ですね。掛けて-3になるのは、、、掛けて
マイナスになっているわけですから、異符号の数です。またまた登場、前号の
2で書いたように、掛けた結果の符号は後で考えればいいわけですから、まず
掛けて3になる数を考えます。これは悩まず、1と3です。次に符号です。異符
号ということは、どちらか一方にマイナスをつければいいということになりま
す。ここで、どっちにつけたらいいんだろう?と悩んでしまう人がいます。あ
なたもそうですか?


 実は、ここで悩む必要はないのです。上に書いたように「たすきがけ」をし
た結果、符号だけが違っていたら、2つの数の符号を両方とも変えればいいの
です。もう少し簡単に言えば、符号を付け替えればいいのです。百聞は一見に
しかず、ですから、実際にやってみましょう。


【トライ1】
   1   -1 →-2 ─┐
    \ /      │
     ×       │
    / \      │足す
   2   3  → 3 ─┤
  ───────── │
          1 ←┘
         ~~~ xの係数の-5と違うので、【失敗!】


【トライ2】
   1   3  → 6 ─┐
    \ /      │
     ×       │
    / \      │足す
   2   -1 →-1 ─┤
  ───────── │
          5 ←┘
         ~~~ xの係数の-5と符号だけ違う、【チャンス!】


 ここで、「たすきがけ」の結果がxの係数の-5とは符号だけが違っているわ
けですから、3と-1の符号を付け替えればいいのです。


【トライ3】
   1   -3 →-6 ─┐
    \ /      │
     ×       │
    / \      │足す
   2    1 → 1 ─┤
  ───────── │
         -5 ←┘
         ~~~ xの係数の-5と一致、【成功!】


 したがって、正解は

  2x^2-5x-3=(x-3)(2x+1)
       ~~~~~~~~~~~
です。



 このように、「たすきがけ」で因数分解するときには、xの係数は最後にチ
ェック&符号の調整をすればいいのです。気を配るのは、x^2の係数と定数項
です。xの係数にあまり意識がいってしまっていると、次のような間違いをし
てしまう危険性があります。


【誤答例】
   1   -1 →-2 ─┐
    \ /      │
     ×       │
    / \      │足す
   2   -3 →-3 ─┤
  ───────── │
         -5 ←┘
         ~~~ xの係数の-5と一致、【でも間違い!】


 何がいけないのか分かりますか?そうですね。右側の数、-1と-3を掛けると
3となってしまいます。定数項は-3ですから、これではマズイわけです。あり
がちな間違いなので、気をつけてくださいね。


 今回も練習問題をつけておきます。正解は前回と同じように、一番下の部分
に書いてあります。


【練習問題】次の式を因数分解してください。
 (1) 3x^2-7x+4
 (2) 2x^2-x-6
 (3) 6x^2-x-2
 (4) 4x^2+4x-15




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 前号で、「長くなっても仕方がないとアキラメました」と書きましたが、内
容があっても、あまり長いとやはり読むのが大変だ、というご指摘を受けまし
た。全くその通りだと思います。そこで、回数を増やしてみようか、と。それ
でも今回はこの長さになってしまいました(T_T)

 実は、最初に書いたときには、2つ目の話題が1とほぼ同じ長さのものにな
ってしまったのです。さすがにこれは長いだろう、と思った次第で(笑)思い
切って回数を増やす方向で考えました。

 オススメのものは、いいなと感じたものは紹介します。pdfなどのレポート
は、原則「無料」のものしか書かないつもりでいます。普通の書籍などは、無
料のものは基本的にありませんから、有料のものでも良さそうなものはご紹介
したいと思います。もちろん、自分で読んで良かったと思うもの以外は、書く
つもりはありません。今後とも宜しくお願いいたします。

─…───…───…───…───…───…───…───…───…─

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 現役高校数学教師が送る「数学マスターへの道」(毎週月・水・金発行)
 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/
 配信中止はこちらから→ http://www.mag2.com/m/0000184672.html
 ご意見・ご感想などはこちらへお願いします。
 → E-Mail math_master@hotmail.co.jp
 → BLOG  http://sora.mathemaster.com/
 バックナンバーはこちら
 → http://mathemaster.com/magback_index.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【練習問題の解答】
 (1) (3x+1)(x+3)
 (2) (2x+3)(x+2)
 (3) (2x+3)(3x+2)
 (4) (4x+3)(x+2)



<< 前の記事へ      目次へ戻る      次の記事へ >>