第0010号 かっこの使い方
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┃ 数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜 ┃
┃ 第0010号 (2006/03/20) ┃
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高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、見方、考え方につ
いて、ちょっとしたヒントを毎週月・木にお届けします。
合言葉は、
☆少なく覚えて、とことん使う!
☆センスは身につくもの!
です!
──Contents─────────────────────────────
1.かっこの使い方
2.数学の方言(その3)
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1.かっこの使い方
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かっこの使い方については、最初は小学生で習うのですが、その時には、四
則演算の優先順位とからめて説明がなされます。つまり、
「×、÷」は「+、−」より先に計算する
( )があったら、その中を先に計算する
といったような感じです。これで間違いというわけではありませんが、計算の
優先順位だけしか意識していないと、十分にその威力を発揮させることができ
ません。小学校・中学校でも段階的に意識はさせているとは思うのですが、か
っこの重要な使い方の1つに、
( )でくくられた部分は1つのまとまりとして見る
というのがあります。たとえば、
┌───────────────┐
│ ある数xに5を足して3倍する │
└───────────────┘
という文章を式に直すことを考える場合、多い間違いは
x+5×3 …(イ)
です。もちろん、式に書いた後にもう一度見直せば、+よりも×は先に計算す
るのだから、この書き方だと、5×3を先に計算しなければならなくなるからダ
メなんだよ、ということになります。ですが、計算の順序という意識だけでは、
この癖は簡単には直りません。正しい書き方は
(x+5)×3 …(ロ)
なのですが、(ロ)のつもりで(イ)と書いている人が意外と多いのです。この原
因はどこにあるのかというと、人間の感覚的なものだと思うのです。つまり、
「先に書いたものは先に計算する」ような気がする、という感覚です。これを
意識して直すのは、けっこう大変だと思います。そこで、計算の順序ではなく、
「かたまり」あるいは「結合の強弱」といった見方をするのがいいのではない
かと思うのです。つまり、
「×、÷」でつながったものは1つのかたまり
( )でくくられたものは1つのかたまり
「+、−」は「×、÷」より結合が弱い
と考えるのです。単なる言い換えのように感じるかもしれませんが、「かたま
り」を意識することによって、式の見方も変わってきます。そして、何より、
計算の「順序」と式を書く「順序」が別ものであることが、これによって逆に
意識されるのではないかと思います。計算の「順番」というと、式を書く「順
番」と混同してしまう危険性があるのですが、それを避けられるのではないか
と思います。
上の文で言えば、「ある数xに5を足して3倍する」というのは、「ある数xに
5を足して」→x+5、それ全体を3倍するわけだから、x+5を1つのかたまりと見
て、かっこをつけて、(x+5)として3倍する、すなわち(ロ)の式となるのです。
別の例を挙げます。分数式の計算で、
3x+5 3x-2
─── − ─── …(ハ)
2 3
というものがあったとします。計算としては、通分すればいいだけの話ですが、
これが間違いやすいのです。よくある間違いは次のようなものです。
まず分母を6にそろえて
9x+15 6x-4
─── − ───
6 6
次に、これをひとつの分数にして
9x+15-6x-4
──────
6
とするものです。どこが違うか分かりますか?そうです、6x-4の-4が実は+4に
ならなければいけないのです。
これをどう見れば間違えにくくなるのかというと、分数で書かれたものの分
母と分子はそれぞれ1つのかたまりという見方をすればいいのです。1つのか
たまりと見たら、かっこをつけるのです。(ハ)の式は
(3x+5) (3x-2)
─── − ─── …(ヘ)
2 3
というように、分子にかっこをつけて考えてみるのです。その上で、通分する
ために、(ヘ)の式の分母と分子にそれぞれ3と2を掛けて計算するのです。
(3x+5)×3 (3x-2)×2
───── − ───── …(ト)
2×3 3×2
(ト)の式で、分母が揃ったから、1つの分数にすることができて、
(3x+5)×3 (3x-2)×2
───── − ─────
2×3 3×2
3(3x+5)-2(3x-2)
=────────
6
となります。あとは、かっこを外すときに、符号に注意して外せばOKです。
大切なのは、分数では分母は分母で1つのかたまり、分子は分子で1つのかた
まりという意識を持つことです。そして、それを表すのに( )が大いに役立
つということです。「かたまり」を表す( )という意識を持つようにしてみ
てください。
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2.数学の方言(その3)
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今回は数学の方言と言うより、意味不明の言葉、といった方がいいかもしれ
ません。
┌──────────┐
│ 同様に確からしい │
└──────────┘
「確からしい」?
「確か+らしい」??
確率の学習のところで出てくる言葉です。正直に言うと、私はこの言葉が何
を言おうとしているのか、よく分かりません。最初に習ったときにも、何だこ
りゃ?ワケ分からん(>_<)と思いました。
「確か」というのは「確実」ということを意味するわけです。それに対して、
確かかどうか分からないよ、という「らしい」という言葉をつけているわけで
す。意味が分からないのは当然ですよね。
「同様に確からしい」というのは要するに、
「起こり得る可能性がどれも等しい」
ということを意味しているのです。要するに起きる確率がどれも等しい、と。
確率という概念を説明するのに、「確率」という言葉はもちろん使えませんし、
「可能性」という非常に近い意味の言葉も使いたくはなかったのではないか、
と想像します。これはあくまでも想像ですので、もし違っていたらスミマセン。
同じ意味の言葉を使っての定義を避けようとして、「同様に確からしい」など
という意味不明な言葉を生み出してしまったのではないかと思います。
ある出版社の教科書に載っている説明を引用してみます。
「一般に、ある試行において、起こり得るすべての結果がどれも同程度に
起こると期待できるとき、その試行の1つの結果からなる根元事象は同
様に確からしいという」
この出版社を責めるつもりは全くありませんが、はっきり言って、分かりにく
い文章だと思います。これを読んで、ワケ分からん〜〜、と思っても、それは
数学ができないということにはならないように思います。数学の言葉遣いって
分かりにくいものが多いですよね。中味が分かってしまえば、大したことはな
いものも多いのですが、表現が分かりにくいために、敬遠してしまう所がある
ようにも思います。そういったところを1つ1つ解消していきたいと思ってい
ます。
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─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──
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