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第0008号 2次方程式の解の公式と判別式


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┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0008号 (2006/03/13)             ┃
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 高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、見方、考え方につ
いて、ちょっとしたヒントを毎週月・木にお届けします。


 合言葉は、

  ☆少なく覚えて、とことん使う!
  ☆センスは身につくもの!

です!


──Contents─────────────────────────────

 1.2次方程式の解の公式と判別式
 2.接線の方程式の別解(その2)

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  1.2次方程式の解の公式と判別式

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 2次方程式の解の公式は、以前は中学校で習う内容だったのですが、新指導
要領になってからは、高校の範囲となりました。解の公式の導き方についても
ぜひマスターしてほしいのですが、最終的には覚えておかなければならない公
式の一つですから、今回は公式の導き方については触れず、示すだけにしてお
きます。しっかりと覚えておきましょう。


 ┌─☆2次方程式の解の公式(基本パターン)──┐
 │ 2次方程式 ax^2+bx+c=0 (a≠0)の解は   │
 │                      │
 │    -b±√b^2-4ac            │
 │   x=───────           │
 │       2a              │
 │ ※b^2-4acは√の中にすべて入ります     │
 └──────────────────────┘


 この解の公式、2次方程式であれば、解が即座に求まってしまうというスグ
レモノなのですが、唯一欠点があります。それは√の中に入っているb^2-4ac
という式の値が、必ずしもプラスの場合とは限らないということです。それが
プラスとは限らないと、何がマズイのか?


 √aというのは、2乗してaになる数のうち、プラスの方の値を表しています。
このaの値がマイナスだとしたら、2乗してマイナスになる数を考える、とい
うことになります。しかし、2乗するというのは同じ数を掛けることであり、
同じ数を掛けるということは、当然「同符号」の数同士を掛けるということで
す。同符号の数を掛けた場合は、必ず符号はプラスですから、2乗してマイナ
スの数になるということは、普通はあり得ない話なわけです。(もっともその
あり得ないことを考えてしまおう!という大胆なチャレンジもあるのですが、
その話は置いといて…)


 ということで、b^2-4acがマイナスになる時には、この解の公式は使えない
ということになります。これは、解の公式の能力不足で解が求まらないのでは
なく、b^2-4acがマイナスの時には、その2次方程式の解そのものが存在しな
いということを意味するのです。


 ところで、解の公式の分子の√の前を見てください。±という+と−が合体
したものがありますよね。これは+の場合と−の場合と両方考えられるので、
手抜きして一緒に書いてしまえ!という記号です。これを「複号」と呼びます。
つまり、2次方程式の解は√の前が+であるものと、−であるものと「2つの
解」があることを示しているのです。


 では、√の中のb^2-4acの値が0だったらどうなるでしょうか?√0は0ですか
ら、±0ということになります。0は足しても引いても変わりませんから、+の
場合と−の場合で2つあるといった解が、この場合には、1つしかないという
ことになるのです!要するに、上の解の公式の±√以降がなくなってしまうの
です。


 以上のことをまとめますと、

  (1) b^2-4acの値がプラスのとき  → 解は2つある
  (2) b^2-4acの値が0のとき    → 解は1つだけある
  (3) b^2-4acの値がマイナスのとき → 解はない

ということになります。このように、解の公式の√の中のb^2-4acという式の
値がプラスかマイナスか、あるいは0かによって、2次方程式の解がどうなっ
ているかを判定することができるのです。解の個数を判別することができる式、
ということで、このb^2-4acという式を「判別式」と呼んでいるのです。そし
て「判別式」を意味する英語の「discriminant」の頭文字を取って、

  D=b^2-4ac

と書きます。


 どうして判別式によって2次方程式の解の個数が調べられるのかという理屈
をきちんと理解していれば、上にまとめたことを無理に覚える必要はなくなり
ます。解の公式をしっかり覚えて、それをどう解釈するかということを理解し
ていれば良いのです。慣れていないとなかなか難しいかもしれませんが、この
部分がプラスだったら〜、とか、ここが0なわけだから〜〜といったように、
式とにらめっこしながら考えてみてください。あるときに、「あ、そうか!」
と頭の中でつながる瞬間が来ます。そのときの快感は何とも言えないものです。
その快感を味わうと、だんだん病みつきになっていきます(笑)ぜひ、快感を
味わって、病みつきになってください(笑)




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  2.接線の方程式の別解(その2)

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 前号から下のような接線の方程式を求める問題の別解を説明しています。

┌──────────────────────────────────┐
│                                  │
│ 問 点(-3,5)から放物線y=x^2-4xに引いた接線の方程式を求めなさい。 │
│                                  │
└──────────────────────────────────┘

 前回は、次の2次方程式がただ1つの解を持つときが、接線となる場合だ、
というところまで説明しました。

  x^2-(4+m)x-3m-5=0 ………(ニ)

そうです、何を使えばいいのかはお分かりですよね?上で説明した、「2次方
程式の判別式」を使えばよいのです!


 ここで、2次方程式の判別式の使い方の注意です。ax^2+bx+c=0 という2次
方程式に対して、b^2-4ac という式の値がプラスか、0か、マイナスかを考える
というのが2次方程式の判別式でした。このa,b,cという文字が曲者なのです。
a,b,cにはその文字そのものに特別な意味はありません。つまり、次のように考
えてください。

  a…x^2の係数
  b…xの係数
  c…定数項

判別式を使うときには、a,b,cに相当するものを2次方程式から見つけ出して
それを判別式に代入してもいいのですが、係数や定数項の中でa,b,cが入り乱
れていたりすると混乱しかねません。そこで、私は次のようにしています。

  ┌─────┬──────┐
  │     │      ↓
  ○x^2+△x+□=0  (2)掛けて4倍する
      │
      └─→(1)2乗する
  (1)から(2)を引く

つまり、最初にxの係数を見て2乗します。次に−4×(x^2の係数)×(定数項)
といった感じで順に書いていくのです。こうすると、a,b,cに相当するものを
考えて、それから代入するという2段階のステップを踏まなくて済みます。


 (ニ)の方程式で実際にやってみましょう。

  x^2-(4+m)x-3m-5=0 

まず、xの係数は-(4+m) ですから、それを2乗して{-(4+m)}^2 です。
次に、前と後を掛けて4倍して引き算ですから、

  D={-(4+m)}^2-4・1・(-3m-5) ………(ホ)

となります。これが(ニ)の方程式の判別式です。あとは、この(ホ)の式の値が
0となるときのmの値を求めて、前回の

  y=mx+3m+5 ………(イ)

に、そのmの値を代入すれば、接線の方程式は求まります。


 解決編は次号!まだ、解けていない人は、この続きをやってみてください。




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 先週体調を崩してしまったこともあり、仕事に追われている日々です。その
せいで、ブログの更新も滞りがちになってしまっています。何とかメルマガだ
けは、くじけずに発行しようと思っています。
 前回、リクエストをお願いしますと書きましたら、さっそく「三角関数、極
限、数列」あたりを勉強したいと思っているというメールを頂きました。あり
がとうございます!どこまで分かりやすく説明できるか不安な部分もあります
が、頑張ってみたいと思います。

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