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第0007号 間違った勉強法にご用心!(その2)


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┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0007号 (2006/03/09)             ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

 高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、見方、考え方につ
いて、ちょっとしたヒントを毎週月・木にお届けします。


 合言葉は、

  ☆少なく覚えて、とことん使う!
  ☆センスは身につくもの!

です!


──Contents─────────────────────────────

 1.間違った勉強法にご用心!(その2)
 2.接線の方程式の別解(その1)

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  1.間違った勉強法にご用心!(その2)〜受験勉強編〜

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 今回は受験勉強に焦点を絞って、その勉強法について書きたいと思います。
数学の受験勉強をしようというときに、基礎が十分にできていないからと考え
て、教科書を最初からやろうとする人がいます。とても真面目な方だと思いま
す。ですが残念ながら、この勉強法は間違いだと言えます。間違いである理由
は、次の三つです。

  一、教科書を最初からやると時間がかかるので、途中で挫折しやすい
  一、順番に勉強していると、前のことを忘れてしまう
  一、教科書にはどの公式を使うのかというヒントが数多くある
    (節や項目の名前、例題など)

入試問題では、どの公式を使うのか、どの知識を使うのか、といったことは、
問題の中に書いていません。それは当然ですよね?ということは、そこを自分
で考えられるようにならなければいけないのです。複数の知識を組み合わせる
必要もあります。また、前に学習した計算などの、基礎技術をすっかり忘れて
しまってはいけません。そして、何より挫折したら、前に進むことができませ
ん!


 そこで、十分ではないにしても、一通りは勉強したという人は、受験勉強は
問題集を中心にやりましょう。問題集をやって、基礎となる部分で分からない
ところ、計算の仕方で分からない所があったら、そこだけを教科書で確認する
のです。あるいは似ている問題がないか探してみて、それが使えないか考えて
みるようにしましょう。つまり、教科書を「辞書」っぽく使うのです。


 ある内容について全くできない、または全く知らないのであれば、いきなり
問題を解こうと思ってもそれは無理でしょうから、まずは教科書で勉強してみ
ましょう。しかし、「最初から」やる必要はありません。その該当する範囲だ
けでいいのです。それで、なおも分からない所があったら、さらに戻って調べ
てみましょう。


 受験勉強ではなく、順番に勉強しようというときには、教科書と問題集の両
方を使いながら勉強しましょう。やはり、ここでも問題を解く練習は必要です。
時には、解答を見ながら真似をして解いてみることも必要でしょう。しかし、
その際にも、

  どういう考え方をしているのか?
  どうしてその公式を選んだのか?

といったようなことを、考えながら練習をしてください。


 いずれにしても大事なことは、自分から進んで調べたり、考えたりすること
です。そして、分からない所をタイムリーに質問できれば、なお良いというこ
とになります!




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  2.接線の方程式の別解(その1)

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 前号では下のような接線の方程式を求める問題を微分を用いて解きました。
今回は、別の解き方を考えてみたいと思います。これは、与えられた曲線が2
次式で表されるものについて有効な方法です。他の場合では、扱いが難しくな
りますので、避けた方がいいでしょう。

┌──────────────────────────────────┐
│                                  │
│ 問 点(-3,5)から放物線y=x^2-4xに引いた接線の方程式を求めなさい。 │
│                                  │
└──────────────────────────────────┘

 まず、求めようとしているのは「接線の方程式」で変わりはありません。今
回は問題の条件の方から、式を立てていきたいと思います。


 接線を点(-3,5)から引くわけですから、その接線は点(-3,5)を通るわけです。
ということは、この接線について分かっていないのは「傾き」ですから、それ
をmと置きましょう。ここで、前回使った公式に当てはめてみます。つまり、
傾きがmで、点(-3,5)を通る直線の方程式を求めるのです。

  y-5=m{x-(-3)}

これを整理して、

  y=mx+3m+5 ………(イ)

という式を出します。この(イ)の直線が放物線y=x^2-4xの接線になっていれば
よいわけですから、そうなるための条件を考えてみます。


 放物線と直線との位置関係は、次の三つに分類されます。(ただし、y軸に
平行な直線は別とします)

  (1) 共有点が2点である
  (2) 共有点が1点のみである ←接線はこの場合に当たります
  (3) 共有点を持たない
  ※「共有点」とは「交点」と考えて差し支えありません。「接する」場合
   は、正確には「交わる」とは言えないので「共有点」と呼ぶようにして
   いるのです。

放物線と直線の共有点とは、要するに放物線と直線の両方の上にある点なわけ
ですから、

  y=x^2-4x と y=mx+3m+5 の両方を満たすxとyの組

を見つければいいわけです。つまり、y=x^2-4x と y=mx+3m+5 を連立方程
式として解けばいいわけです。そして、その方程式の解が、ただ一つであれば
それが接線の場合だとなるのです。


 さて、次の連立方程式で、

  y=x^2-4x ………(ロ)
  y=mx+3m+5 ………(イ)

(イ)のyに(ロ)の式を代入しますと、次のようになります。

  x^2-4x=mx+3m+5 ………(ハ)

(ハ)の式の右辺を左辺に移項して整理します。

  x^2-4x-mx-3m-5=0
  x^2-(4+m)x-3m-5=0 ………(ニ)

この2次方程式(ニ)の解が一つだけとなるときのmの値を求めれば、それが求
める接線の傾きだということになります。ここの話には、2次方程式の「判別
式」という、これもまた高校数学での嫌われモノが登場します。「判別式」は
2次方程式の「解の公式」と密接なつながりがあります。このあたりが苦手な
人は、2次方程式の「解の公式」と「判別式」を復習しておいてください。


 次回へ、続く。。。(>_<)




─…─編集後記─…───…───…───…───…───…───…──

 前回に引き続き、接線の方程式を求める問題を扱っていますが、前提となる
知識などを忘れてしまっている方にとっては、かなりムズカシイと思います。
行きがかり上、次回もこの解法の続きについて説明しますが、その後はもう少
し違った話題を取り上げたいと思います。このメルマガで私が書きたいと思っ
ているのは、単なる「問題の解き方」ではなく、そこに潜む「微妙に理解しづ
らい部分」です。ただ、図の助けを借りずにそれを書こうとするのは、非常に
難しいと痛切に感じています。自分の文章力のなさも感じています。

 最近、ふと思うのですが、このメルマガは高校の数学を題材に扱っています
が、実際にはどれくらいの高校生が読んでいるのだろうか?と。『まぐまぐ!』
でメルマガを購読している高校生はあまりいないのではないか?ひょっとした
らこのメルマガを読んでいるのは、みんな大人だったりして…と(苦笑)

 もうすぐ新年度でもありますので、そろそろ高校数学の最初の方の話もして
いこうかな、とも思っています。リクエストなどがありましたら、遠慮なくご
連絡ください。

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