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第0002号 「公式忘れちゃうかも」恐怖症対策


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┃  数学マスターへの道〜少なく覚えてとことん使う〜        ┃
┃         第0002号 (2006/02/09)             ┃
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 高校で数学を教えている現役教師が、数学の勉強の仕方、見方、考え方につ
いてちょっとしたヒントを毎週お届けします。


──Contents─────────────────────────────

 1.「公式忘れちゃうかも(>_<)」恐怖症対策・その1(定期試験用)
 2.「公式忘れちゃうかも(>_<)」恐怖症対策・その2(受験用)

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1.「公式忘れちゃうかも(>_<)」恐怖症対策・その1(定期考査用)

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 せっかく覚えた公式を、試験中に思い出せなくて焦った経験は、誰しもある
と思います。それが高じると、不安になって、試験に集中できなくなる人すら
出てきます。そこで、定期試験限定で、対策をお教えします。


 まず、忘れてはならないのは、数学の勉強で大事なのは

  「自分で解いてみること」

です。問題を解く練習をせずに試験を受けても、できないのは当然です。です
から、試験に向けて、教科書の問題や副教材(問題集)の問題は、必ず解いて
ください。それを確認した上で、次のことをやりましょう。

  一、使う公式を書き出す(新しく出てきた公式は必ず!)
  一、書き出した公式の中のどれを使うのかを意識しながら問題を解く

この2つです。


 公式は、頭で覚えるもの(暗記するもの)ではありますが、それを使う技術
は身体で覚えるものです。つまり、使いながら覚えるのです。


 さて、ここまではよく聞く話だと思いますが、次のことが肝心なのです。そ
こが抜けているために、試験のときに「忘れちゃうかも(>_<)」と不安に
なるのです。それは何かといいますと、

  一、必要な公式を何も見ないで書けるように練習する
    (これは試験の前日でも良い)
  一、試験本番、試験開始の合図とともに、必要な公式を問題用紙の余白な
    どに一気に書く

そうです。公式の使い方を練習しておけば、つまり公式を見ながらなら解ける、
という状態になっていれば、あとは公式を忘れなければいいだけです。そこで
忘れるかもしれないということから、紙に書いたものを持ち込めば、それは単
なるカンニングです。ですが、頭の中に覚えておいたものを、試験開始と同時
に問題用紙に書き込めば、それはカンニングではありません!当然ですよね。
あとは、問題用紙に書いた公式を見ながら、心安らかに問題を解けばいいだけ
です。


 繰り返し言いますが、公式を見ながらなら解ける、というところまで練習し
ておくことが大事ですよ!


 ただ、時には公式が多すぎて、とてもじゃないけど書ききれない!という場
合もあると思います。そういうことは定期試験では滅多にないのですが、三角
関数に限っては、多くなってしまう可能性が大です。それに関しては、下の受
験用を参考にしてください。




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2.「公式忘れちゃうかも(>_<)」恐怖症対策・その2(受験用)

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 定期試験のように範囲が狭い場合には、上の方法も有効なのですが、大学受
験だとか、模擬試験だとかいった場合には、書き出すべき公式が相当あります
ので、現実的には無理だと思います。それに、大学入試問題を解くには、公式
とその使い方を覚えるだけでは、対応できません。その辺の話はまた別の機会
に譲るとして、それでも覚えなければならない公式はやはりあります。

  では、どうすればいいのか?

覚えるべき公式が多ければ多いほど、忘れる可能性は高まります。これは仕方
がないことです。そして、忘れたら最後、というのが公式の危険な所です。諸
刃の剣というやつです。それが恐怖症の原因となっているわけですよね。


 ごめんなさい。ちょっと勿体ぶってしまいました(笑)要は、たくさんだと
忘れる可能性が高まるので、覚えるべき公式を少なくすればいいのです。こう
言うと、

  だって公式はたくさんあるじゃん!

と思うでしょう。確かに公式は山ほどありますが、私が言っているのは「覚え
るべき」公式を減らす、ということです。ここが、少なく覚えてとことん使う、
というタイトルに関わってくる所です。


 創刊号で、公式はきまりではない、ということを書きました。そうです、公
式は導き出されるものなのです。つまり、可能な限り公式を自分で導けるよう
にするのです。

  えーーー、そんなことムズカシイよ

そう思うかもしれません。ですが、本当に導くのが難しいのは、一握りです。
例えば、数学Iで学習する、三角比の「正弦定理」「余弦定理」や、数学IIで
学習する、三角関数の「加法定理」などがその代表です。「加法定理」の証明
などは、東大の2次試験で出題されたことがあるくらいです!(1999年度
文科前期日程)数学Bで学習する、Σの公式なども導くのは大変です。こうい
った、導くのが非常にツライものは、頑張って覚えましょう。そして、間違っ
て覚えたらアウトですから、気合を入れて覚えます。


 多くの公式は、ちょっとした練習をすることで導けるようになります。たと
えば、三角関数の「2倍角の公式」は、加法定理を使えば簡単に導けます。数
学IIIで使う、同じく三角関数の「和積・積和の変換公式」。これも加法定理
が元です。ちょっとした変形で導けるものまで、「公式」として覚えようとす
ると、気が遠くなるほどの膨大な量の「公式集」が出来上がります!ですから、
出てきた公式が「どうやって導かれたのか?」ということを、常に考えるよう
にしてほしいのです。みなさんが嫌がる「証明」というヤツですね。でも、ム
ズカシイ証明問題をやれと言っているのではありません。「公式」と呼ばれる
ものに対してだけ、やればいいのです。そして、どうしても導くのがムズカシ
イものについては、覚えればいいだけのことです。


 このように、可能な限り公式を導けるようにと、練習することには、次のよ
うなメリットがあります。

  一、公式を導こうとすることで内容が理解できるようになる
  一、公式を導くために何を使うのか、元になる公式や定義を確認できる
    (重要な公式・定義を見つけ出すことができる)
  一、公式を導くための計算をすることで、計算練習にもなる
  一、公式を導こうとしたことで、記憶に残りやすくなる
    (忘れにくくなる)
  一、そして何より、「忘れたら、導けばいいんだ!」と思えることで、不
    安が解消される

いいコトだらけですね(笑)もっとも、簡単にいくとは言いません。それなり
に考えたり練習したりすることが必要です。覚えた方が楽だよ!と思う人もい
るでしょう。でも、少なくとも、応用力をつけたい、とか、入試問題が解ける
ようになりたい、と思うのであれば、こういったことをやることが逆に早道に
なるとも言えます。


 また、最後の「忘れたって大丈夫」と思えることは、大いなる自信にもつな
がります。私は生徒達に、「保険をかける」という言い方をしています。つま
り忘れてしまったときのための「保険」ですね。公式は覚えておくに越したこ
とはありません。ただ、忘れても自分で導けるのであれば、忘れることに対す
る不安は減りますよね。忘れたらどうしよう(>_<)という不安は、思って
いる以上に心理的プレッシャーを与えるものです。心理的プレッシャーは多く
の場合、思考力を低下させます。場合によっては、試験中に「頭が真っ白」と
いう状態にもなりかねません。ですから、そのプレッシャーをなるべく取り除
くことが必要なのです。これは上の1で述べたことと同じです。ぜひ「忘れち
ゃうかも(>_<)」恐怖症を克服して、「忘れても大丈夫(^^)」状態にな
れるように頑張ってください!


 ちなみに、私は公式を覚えるのがニガテで、高校時代は「正弦定理」も「余
弦定理」も「加法定理」もなかなか覚えることができませんでした(笑)それ
でも高校の数学の教員になれるのです!もちろん今ではちゃんと覚えています
けどね(^^)覚え方はまた今度。




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